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【談話】庶民増税と緊縮財政という国民犠牲の政治に反対する
- 2012年度政府予算案に対する談話 -

 12月24日に野田内閣は、2012年度政府予算案を閣議決定した。
 その内容は、一般会計の総額90兆3339億円予算総額の内、44兆2440億円(44%)が国債で賄われ、税収見込みは42兆3460億円に止まると言う歪んだ歳入構造となっている。
 しかも、基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げるための財源(2兆58882億円)を、一般会計の歳入に計上しない「年金交付国債」で賄い、震災復興の費用については特別会計を設置して一般会計から切り離すなど、予算規模や借金総額を小さく見せる「手法」も使われている。「年金交付国債」の償還には、2010年代半ばの消費税率引き上げを充てることが想定されており、借金と庶民増税という国民への負担転嫁を当然視している。
 このような歪んだ歳入構造となる最大の原因が、法人税減税の先行実施や証券優遇税制の温存に見られる大企業・大金持ち優遇税制による税収不足にあることは明白である。負担能力あるものに応分の負担を求めるという当たり前の税制論議なくして、借金頼みの財政を改善することは出来ない。

 復興費を除く予算額で社会保障関係費は対前年度比で0.4%の伸びにとどまり、自然増にも対応できない額となっている。
 その結果、年金支給額の1.2%削減、介護保険料、利用料の引き上げ、協会けんぽ保険料の引き上げなど、国民負担増が目白押しである。高齢化などに伴う必要経費さえ確保できない予算案の背景には、防衛費の削減が1.3%(614億円)にとどまるなど「一律シーリング方式」による予算案編成の問題がある。前例踏襲の官僚主義的な予算編成では、進行し続けている格差と貧困を是正し、「3.11」大震災からの復興を早めることなどはできない。
 同様の問題は、原発に固執して関連予算を4188億円も計上し続ける一方で、再生可能エネルギーの技術開発などのための予算を103億円にとどめていること、公共事業関係費を8.1% 削減しながら、八ツ場ダム(群馬県)の本体工事着工(56億円)、高速道路建設関連(4890億円)計上するなど大規模開発中心の公共事業継続の姿勢を崩していないこと、などにも表れている。政治の指導性が発揮されていないことの端的な表れでもある。

 雇用対策でも、前年度比13.5%の大幅削減が強行され、雇用保険への国庫負担の削減、企業での雇用維持のための支援金の半減、最低賃金引き上げのための中小企業支援の大幅削減など、「もの言えぬ」労働者への痛みの押し付けが行われている。
 また、次年度国家公務員の定員を2018名純減するとし、総定員法が施行された1969年以来でははじめての全省庁純減という査定が行われた。「3.11」大震災でも明らかになった公務員削減の行き過ぎを改めるのではなく、「公務員バッシング」を利用した総人件費抑制の姿勢のみが強調される内容となっている。これらの点でも、野田政権には、労働者や公務公共サービスの現状を真摯に見据えた政策実施の姿勢を伺うことは出来ない。

 以上のような2012年予算案は、国民の痛みを倍加し、被災地の真の復興の足かせとなりかねない「痛みを押し付ける予算案」だと考える。その立場から、暮らし優先の予算への組み替えを求め、消費税増税に反対する要求を掲げて、たたかいを強める決意を表明する。

  2011年12月25日

全国労働組合総連合
事務局長  小 田 川 義 和

 
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