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【談話】大飯原発再稼働の「政府決定」の撤回、原発ゼロへの決断を求める

 6月16日に政府は、関西電力大飯原子力発電所3号機、4号機の再稼働を関係閣僚会合で決定した。全労連は、この決定に強く抗議し、決定の撤回を求める。

 福島原発事故の検証は未だに途上にあり、活動期に入った地震大国・日本での東日本大震災経験後の安全基準や安全対策も講じられていない。厳格な独立性が保障される原子力規制機関も設置されず、福島原発事故からの1年余の間でも、原子力安全保安院など関係行政機関が「原子力ムラ」の利権擁護に走っていることが繰り返し明らかになっている。
 原子炉メーカー任せのストレステスト一次評価のみの不十分性や、国民の批判で急ごしらえされた暫定安全基準が口約束でしかないことなどは、政府関係者も批判している。政府が政治的に判断できる状況には何一つない。

 関係閣僚会合に先立つ6月8日に野田首相は、再稼働判断の根拠として、「国民生活を守る」ことを強調した。その内容は、(1)福島級の地震・津波に対しても「事故を防止できる対策と体制が整った」こと、(2)専門家の議論で安全性を確認したことを強調し、同時にそれらの判断が「暫定的なもの」とも述べた。また、「国民生活を守る」三つ目の点として、(3)計画停電や電力料金の高騰といった日常生活への悪影響、をあげ、「関西での15%の需給ギャップ」や「(計画停電による)命の危険」にまで言及した。
 このような野田首相の判断の根拠は、原発そのものの安全性と、経済活動を含む日常生活の安定という比較できない論拠を並列で並べ、結局、後者を優先した判断をおこなっている点に最大の矛盾がある。「電力料金の高騰」までも判断基準に含める従来型の姿勢は、休止中原発をなし崩しに再稼働させる意図を強く感じざるを得ない。
 原発の安全性を強調しつつ、それが暫定的なものとしていることも大きな矛盾であり、責任回避のロジックと言わざるを得ない。
 福島級の地震・津波に対応できる対策をとったと言うが、政府が急きょ策定した「暫定基準」にもとづく対策は、何一つ実施されていない。にもかかわらず「整った」と強弁することはごまかしであり、国民に対する背任行為と言わざるを得ない。

 世論調査では原発再稼働反対が過半数をこえる調査結果が続いており、前日の15日には、11,000人もの人たちが首相官邸を緊急に取り囲み、再稼働反対を訴え続けた。17日の日曜日には、福井市中央公園に全国から2,200人の人たちが集まり、大飯原発再稼働反対を改めてアピールした。このような国民の声に政府は真摯に耳を傾けるべきである。
 福島原発事故で多くの被ばく者が発生し、故郷を追われ、生業・仕事を奪われている。除染も生業・仕事の復旧・復興も遅々として進まず、被害者を苦しめている。政治の責任は重大であり、再稼働の政治判断よりも、被災者の復旧・復興こそ急ぐべきある。核による新たな被害者を作り出さない決意のもとに、「原発ゼロの日本」を決断すべきである。
 7月16日には「さようなら原発10万人集会(代々木公園)」が、7月29日には国会大包囲行動が予定されている。全労連は、こうした行動・集会の成功に全力をあげ、さらに運動を大きくして、「原発なくせ」の広範な世論で政府を追い詰めていく決意である。

2012年6月20日
全国労働組合総連合      
事務局長  小田川義和  

 
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