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【談話】労政審建議「今後のパートタイム労働対策について」について

 労働政策審議会・雇用均等分科会は13回の審議を経て、6月21日、パート労働法の見直しに関わる「今後のパートタイム労働対策について(報告)」をまとめ、厚生労働大臣に建議した。
 建議を受けた小宮山大臣は、「要望していた均等待遇をめざす内容だ」などと述べたが、実際には有期労働契約に関する「労働契約法改正案」の枠組みを出ておらず、実効性ある改善策とはなっていない。

 全労連は、非正規労働者の劣悪な賃金・労働条件の改善、パート労働法の実効性ある改善を強く求め、(ア)均等待遇原則を法制化し、「同じ仕事には同じ賃金」を実現すること、(イ)「合理的理由のない不利益取り扱いを禁止」し、基本賃金で異なる扱いが許容される「合理的理由」は「職務の違い」「勤続年数」など客観的な基準に限定すること、(ウ)一時金や退職金、通勤手当、その他の手当における差別をなくすこと、(エ)慶弔休暇をはじめとする労働条件や福利厚生・研修などの差別をなくすこと、(オ)正社員への転換を希望するパート・非正規労働者の正社員化を推進すること、などを強く求めてきた。
 また、均等待遇を義務づけている現行パート労働法第8条の対象者が実際にはほとんど存在しないことが明確になる中で、政府・厚生労働省も現行法では改善が見込めないとして、今回の見直し検討をすすめてきたものである。

 建議の主な内容は、(1)有期労働契約に関する「労働契約法改正案」に準じて、均等待遇を義務付ける第8条について「無期労働契約要件」を削除し、「職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して不合理な相違がみとめられない」場合としたこと、
 (2)第9条2項(職務同一かつ一定期間は人材活用の仕組みも同一の労働者についての同一方法による賃金決定の努力義務)についても、無期要件を削除するとしたこと、
 (3)通勤手当(現行法第9条1項では均衡確保努力義務の対象外として例示されている)について、一律に「均衡確保の努力義務の対象外」とすることは適当ではない旨を明らかにしたこと、
 (4)親族の葬儀等のために勤務しなかったことを理由とする解雇等が適当ではない旨を指針に規定するとしたこと、
 (5)待遇にかかわる説明の強化、苦情処理担当者の配置、などである。

 しかし第1に、第8条にかかわる無期要件は削除されるものの、異動や転勤の範囲を意味する「人材活用の仕組み」が依然として考慮要素に残されている。これでは、「人材活用の仕組み」が違うことを理由に差別が正当化されるのであって、改善は見込めない。改正目的に照らしても、このような内容にとどまったことは極めて遺憾である。
 また、ア)「人材活用の仕組み」は中長期的概念であるが、改正法ではどの程度の期間を見込んで判断するのか、イ)考慮要素である「職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情」が正規労働者と同一であれば賃金・労働条件の格差は許されないが、この考慮要素が少しでも異なる場合に、どのような基準で賃金・労働条件の格差の合理性が判断されるのか、などについては審議会でも議論されておらず、何も明らかになっていない。
 第2に、通勤手当などの諸手当、忌引き休暇をはじめとする休暇制度なども当然ながら均等処遇とすべきであり、上記内容では均等待遇の保障には至っておらず、きわめて不十分である。

 今後はこの「建議」に沿って法案がつくられ、国会で審議されていくことになる。
 全労連は、待遇改善に役立つ実効ある改正となるよう、非正規労働者の切実な意見の反映めざし、学習・宣伝・要請・署名行動をはじめ全力を挙げていくものである。

  2012年6月27日

全国労働組合総連合    
事務局長 小田川 義和 

 
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