【談話】第180回通常国会をふりかえって
9月8日、第180回通常国会が閉会した。密室談合で「増税大連立」が形成され、戦後3番目の229日間も開かれた国会では、消費税率を10%に引き上げる庶民大増税と自己責任を貫徹する社会保障大改悪を宣言した「社会保障・税一体改革関連法」などが成立した。
今国会は重税にくわえ、国家公務員の賃金を平均7.8%引き下げる「特例法」や、製造業派遣・登録型派遣の「原則禁止」を棚上げにした労働者派遣法修正法、雇用継続5年直前の雇止めを増加させると警鐘される労働契約法改正法など、賃下げと雇用の不安定化につながる法律が成立し、労働者の暮らしと働き方をさらに悪化させる「逆流」国会となった。
非正規労働者の増加を主因とする労働者全体の貧困化が、社会保障の持続可能性を低下させ、経済のデフレ状況を深刻化し、社会全体の閉塞感を高めている。この現実に眼を向ければ、不毛な政争に明け暮れるのではなく、東日本大震災の被災者、被災地域の復興に政治の責任を果たし、福島原発事故の収束や被害者への賠償に全力をあげるなど、国民生活重視の国会審議を行うべきであった。しかし、通常国会は国民の負託、期待に応えないまま閉会したと言わざるをえない。
消費税増税などの悪法の多くは、民主・自民・公明3党の「密室談合」が先行し、十分な国会審議を経ずに成立させられるという異常な状況となった。このような事態が、国民の政治不信を高め、議会制民主主義を否定する声となっていることを、国会は自覚すべきである。
国会最終盤、消費税増税法案の成立に反対する国民世論を背景に、野田内閣の退陣を求める動きが強まった。公約違反の消費税増税に「政治生命をかける」とした野田首相の異常な国会運営への批判が、内閣不信任案や野田首相問責決議に反映されたことは明らかである。野田内閣は、通常国会の会期中に辞職し、総選挙で国民に信を問うべきだった。
今国会では、予算執行の裏付けとなる「公債発行特例法案」が廃案となり、新たに設置される原子力規制委員会の委員同意人事案は審議さえ行われなかった。内容以前の問題として、国民生活に直接影響する重要案件が政争の具、駆け引きの材料とされ、国会審議がないがしろにされる事態は、国会のねじれ状態のもとで許されることではない。政治が責任を果たすべき課題の優劣を国会はより真剣に論議すべきである。
第180回通常国会の閉会にあたり全労連は、国民の意思を無視した「談合政治」と政局中心で国民不在の国会状況に厳しく抗議する。国民の期待に応える国会状況をつくりだすためにも、秋の早い段階で臨時国会を召集し、公債特例法案など国民生活関連法案を速やかに成立させて衆議院を解散し、総選挙を実施するよう強く求める。
全労連は、今180国会の異様な状況と問題点を広く訴え、労働者要求を実現できる国会状況をつくりだすめ、国民共同の一翼をになって秋のたたかいをすすめる決意である。
2012年9月10日
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