【談話】後退せず、すべての原発からの即時撤退、「原発ゼロ」の決断を求める
9月19日の閣議で野田内閣は、「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」としたエネルギー・環境会議の「革新的エネルギー・環境戦略」(新エネルギー戦略、9月14日決定)の決定を見送り、新エネルギー戦略を踏まえて「不断の検証と見直しを行いながら遂行する」との方向を確認した。
8万件をこえるパブリックコメントや各地での意見聴取会などの意見では、8割以上が「できる限り速やかな原発ゼロの実現」を求めていることが明らかになっていた。そのような国民の意思は、17万人が結集した「7.16さようなら原発集会」や、3月下旬から毎週金曜日に取り組まれている「官邸前行動」などでも示されていた。
その様な中で決定された新エネルギー戦略は、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」として原発ゼロには言及したが、2030年代の実現という余りに遅すぎる時期設定にとどまっていた。また、核燃料サイクル政策の継続に言及するなど、原発ゼロの決断を曖昧にする内容も含まれていた。
しかし、そのような不十分な新エネルギー戦略に対しさえ、「原発ゼロ」への言及に日本経団連など財界が猛反発し、アメリカ政府も懸念を表明して圧力をかけた。その圧力に屈した野田内閣の閣議決定となり、僅かな期間に内閣の方針は大きく後退した。
新エネルギー戦略の不十分さに加え、原発推進勢力である財界、アメリカの圧力に屈し、国民世論に背を向けた閣議決定には、強い不満と抗議の意思を表明する。
日本経団連などの記者会見(9月18日)では、「原発稼働ゼロ」をめざすことは、(1)国内産業空洞化の加速、(2)原子力の安全を支える技術、人材確保が困難になること、(3)米国との関係への悪影響、の3点の問題点を強調している。
いずれの点も、福島原発での過酷事故とその影響の甚大さに目を向けておらず、「核と人類は共存できない」との思いを強め、今すぐの原発稼働ゼロを求める国民とは別次元の経済活動重視の主張である。
そのような経済活動重視で安全対策を軽視し、「安全神話」を振りまいて原発の危険性を覆い隠してきた当事者の財界やアメリカ政府が、その反省もなしに、国民世論と敵対する圧力を政府にかけること自体が許されるものではない。国民世論と敵対する動きにも強く異議を申し立て、自重を求めたい。
政府は年末に向け、新エネルギー戦略を具体化する「グリーン政策大綱」や「電力システム改革戦略(仮称)」などを取りまとめ、エネルギー基本計画を改定するとしている。
すべての原発からの即時撤退、「原発ゼロの日本」の早期実現を決断し、計画中の原発の建設中止と現存する原発を再稼働せずに早急に廃止する計画や、再生可能エネルギーへの早期転換に向けた集中的な投資計画、原発立地地域での産業と雇用の確保の施策などを取りまとめる、それを反映したエネルギー基本計画を策定するよう強く求める。
全労連は、それらの要求実現に向け、この間のたたかいの到達点のさらなる前進、市民、国民との共同発展に全力をあげる決意を改めて表明する。
2012年9月20日
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