【談話】オスプレイ「安全宣言」は承服できない
政府は9月19日、山口県・岩国基地に駐機している米海兵隊の垂直離着陸機・オスプレイについて、「特に危険と考える根拠は見出し得ない」、「飛行運用を再開させる」との「安全宣言」を行った。
この「安全宣言」は、少しばかりの時間をかけ、日米合同委員会などの「セレモニー」を仰々しく行っただけで、結局は「沖縄普天間基地への配備ありき」の姿勢を変えようとしないアメリカ政府の言い分を鵜呑みにした結果にすぎない。
オスプレイは、開発段階から事故が相次ぎ、僅かな操縦ミスでも事故に直結しやすい欠陥機であることをアメリカの専門家も指摘している。ハワイへの配備が計画されたが、プロペラから発する気流が地上の遺跡に影響を与えるとの理由で撤回された。実際、米軍が提出した資料によると2006年から5年間で58件の事故を引き起こし、開発段階から少なくても36人が死亡している。
事故の危険に加え、周辺への負荷の高さも指摘される欠陥機を、世界でも最も危険と言われる住宅密集地域にある普天間基地に配備することは、沖縄県民の命を危険にさらし、死の恐怖を押し付ける暴挙以外のなにものでもない。
その暴挙に加担し、10万人県民集会などに示される沖縄県民の配備拒否の意思や、全国に広がる訓練空域の存在に怒る国民の意思を顧みない政府の「安全宣言」は、断じて承服できるものではない。
「安全宣言」とあわせて公表された日米合同委員会覚書では、航空法や国際条約で定められた最低安全高度(150メートル)を下回って飛行することや、訓練ルートの具体的な選択がパイロットに委ねられていることも確認されている。
「垂直離着陸モードは米軍基地上空に限る」、「低空飛行は、人口密集地や病院・学校などは避ける」ことなどを盛り込んではいるが、パイロットの判断が優先される前提であるために実効性の担保は少ない。
また、この合意によって、日本政府は、オスプレイが本土にもある7つの訓練飛行空域の存在を認めてしまったことも問題である。この結果、これらの空域では、他の戦闘機なども含め、訓練名目の無法が日常化することさえ懸念される。
普天間基地配備はもとより、アメリカ軍が実施しようとしている岩国基地とその周辺での訓練飛行も断じて行わず、オスプレイは即刻アメリカに持ち帰るよう、強く求める。
全労連は、沖縄や山口などで高まっている「オスプレイ配備反対」のたたかいに強く連帯し、9月27日の昼休み国会行動、10月23日の日比谷集会など、既に準備を開始した取り組みを大きな節目に、国民共同の一翼を担って奮闘する決意である。
2012年9月21日
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