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【談話】大間原発の建設中止を求める

 10月1日、電源開発株式会社(Jパワー)は、大間原子力発電所1号炉(青森県)の建設工事再開を公表した。
 その発表文書では、9月14日に「革新的エネルギー環境戦略」(新エネルギー戦略)を政府のエネルギー・環境会議が決定して「建設中の原子力発電所の扱いが明確になった」ことを踏まえた工事再開決定であることを強調している。「新エネルギー戦略」は2030年代の「稼働原発ゼロ」に言及する一方で、核燃料サイクル政策の継続にふれ、建設中原発(東通原発、中国電力・島根原発3号炉)や建設計画のある中国電力・上関1号炉、2号炉などの取り扱いについては何らの言及もしないという矛盾だらけの内容である。Jパワーの工事再開決定は、政府の新エネルギー戦略のそのような矛盾と、それすら閣議決定できない内閣の優柔不断さに起因している。

 大間原発などの新規原発建設計画は、2030年までに原子力による発電を発電電力量の53%に引き上げるとしたエネルギー基本計画に基づいている。同計画は、福島原発での過酷事故を受けて見直されることとされ、その論議の過程で「原発ゼロ」に言及した先の新エネルギー戦略が示された。その点では、原発建設計画も白紙から見直されるべきものである。国民的議論を経た新たなエネルギー計画の決定以前に建設を再開する正当性はどこにも存在しない。また、日本学術会議は本年9月、原発での使用済み核燃料から生ずる高濃度放射性物質の最終処分をめぐり、これまでの政策を白紙に戻すよう提言した。原発を新たに建設することは、行き場のない「核のゴミ」を増やし続けるだけであり、しかもその「核のゴミ」の処理の目途は全く立っていない。この課題の解決策とは無関係に新たな原発の建設を進めることの無謀さと無責任さは明らかである。
 さらに、政府や、国会などで、福島原発事故の原因究明の努力が行われたが、未だ収束していない福島原発事故の現状もあって、事故原因の最終的な解明には至っていない。Jパワーは、「(大間原発は)最新鋭の技術を適用した安全性、信頼性の高い発電所」と述べるが、過酷事故の原因が未解明の段階で、福島事故以前に設計された原発が本当に安全なのか、その実証はなし得ていない。
 大間原発下には活断層も走っており、非常に危険であるとともに、全炉心にプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を入れる「フルMOX」で非常に危険である。また、排水による250種類にもおよぶ海藻への影響もはかりしれない。
 以上のことから考えれば、福島原発事故以前になされた原発建設認可はその効果を失っており、一事業者が建設再開を判断すべきものではない。国民世論をふまえた政府、事業者の判断が改めてなされるべきものである。
 加えて、大間原発をめぐっては、建設の取りやめ、原子炉設置強化の取り消しなどを求める訴訟が起こされている。今回の建設再開に対して、函館市が提訴を準備するなどの動きもある。国と電力事業者、原子力関係企業などが形成する「原子力ムラ」とその影響力を排除しえない原子力行政、規制委員会の現状からして、司法判断は最後の拠りどころである。その司法の判断を待たない建設再開が許されないことは言うまでもない。
 以上のことから、Jパワーの大間原発建設工事の再開決定に抗議し、建設計画の中止撤回を強く求める。政府は、国民世論の大勢を踏まえ、「原発ゼロの日本」を速やかに決断し、あらたな原発建設計画の中止を各事業者に求め、すでに認可した建設計画を取り消すよう要求する。

  2012年10月3日

全国労働組合総連合
事務局長  小 田 川 義 和

 
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