【談話】原発の再稼働はせず、すみやかな「原発ゼロ」を決断する政治の実現を
12月12日の原子力規制委員会定例会に、日本原子力発電敦賀原発(福井県)2号機の直下に活断層があるとの判断を行ったという有識者会合の報告が行われた。
この有識者の判断に対して日本原電は、「科学的根拠は何か」などとする質問状を出し、強く反発している。
今回問題とされた敦賀原発では、敷地内を「浦底断層」が走り、それから枝分かれした「破砕帯」が原子炉の真下に伸びていると言われる。このことは日本では最も古い1号機(1970年運転開始)の建設時点から確認されていた。
そのような危険な場所に原発を建設したこと自体が、「安全神話」に依存した事業者や政府の過去の姿勢を示している。安全神話への依存が、過酷な福島原発事故の原因になったことは、国会の事故調査委員会報告などでも指摘されている。
にもかかわらず日本原電は、従来と同じく「破砕帯が浦底断層に連動する恐れはない」とする立場で有識者会議の結論に異議を申し立て、1号機、2号機の再稼働に固執している。そればかりか、同一敷地内に、新たな2基の原子炉建設も断念していない。
また、国内で唯一稼働している関西電力大飯原発3号機、4号機においても、活断層の存在が指摘されながら、原発の運転が継続されている。
このような傲慢で反省を知らない事業者が、人類の生存を脅かす放射性物質を営利目的で取り扱っていることに、恐怖と怒りを感じざるを得ない。
地震の巣の上にある日本列島で、予期しない場所で活断層が発見される例は少なくない。実際、東北電力東通原発、北陸電力滋賀原発など5か所の活断層調査を原子力規制委員会が予定しているように、既存の原発の近くに活断層が存在する可能性が推測される。
今、取りくまれている総選挙では原発再稼働の問題も大きな争点になっている。その中で「全原発について3年以内に結論」を得るとする自民党は、「安全確認されれば順次稼働」とし、なし崩しに原発を再稼働する姿勢を示している。自民党は、「活断層」の存在を専門家が判断した敦賀原発についてさえ、稼働中止の見解を現時点でも示していない。
日本原電の開き直りとも言える規制委員会への異議の申し立ては、総選挙での政党のそうした動向と無関係とは思えず、政治の責任の大きさを改めて確認できる。
全労連は、今回の有識者会議の判断で、日本中の原発の稼働の条件はさらに減少したと考える。大飯原発の稼働を中止し、他の原発の再稼働も新たな原発の建設も認めず、今すぐ「原発ゼロの日本」に踏み出すことを決断すべきと考える。
「原発ゼロの日本」を今すぐめざして行動することを決断し、再生可能エネルギーへの転換を急ぎ、つなぎのエネルギー確保に政府の施策を集中させるべきである。
全労連は、そのような「いのちの要求」を実現するため、総選挙で原発推進を主張する政党、候補者にレッドカードを突きつける投票行動に立ちあがることを、すべての労働者に呼びかける。
2012年12月12日
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