【談話】第46回衆議院選挙結果について
12月16日に投票された第46回衆議院選挙での各政党の獲得議席は、自民党・294、民主党・57、日本維新の会・54、公明党・31、みんなの党・18、日本未来の党・9、共産党・8、社民党・2、新党大地、国民新党・各1、無所属・5の結果となった。
自民党が、単独で絶対安定多数を確保して政権復帰が確実になり、連立相手と目される公明党とあわせれば再議決可能な3分の2の議席を確保することになった。一方で民主党は、57議席と大幅に減らし、かろうじて野党第一党を確保する惨敗の結果であった。
国民の意思がより反映する比例区の結果を前回(2009年9月)と比べると、自民党はプラス1、公明党は同数の結果でしかない。民主党が57議席減らし、その分が総選挙直前に結成された新たな政党(日本維新の会と日本の未来)と、みんなの党の議席に回っている。12もの政党が乱立した状況のもとで、消費税増税などの公約違反を繰り返した民主党への批判が、離合集散で誕生した「にわか政党」に分散したことは明らかである。
そのような有権者の投票行動が、1選挙区1人の当選者しか生み出さない小選挙区での自民党「圧勝」の要因になった。
民主党の失政への国民批判と、主権者の意思をゆがめる小選挙区制度での自民党の「勝利」である。自民党が総選挙で掲げた大胆な規制緩和などの構造改革推進や、集団的自衛権行使、国防軍設置などの軍事大国化推進の公約が支持されたとは到底言えない。
消費税増税、TPP参加、原発ゼロの日本実現などでの国民の要求傾向と、選挙結果には大きな乖離があり、これらの要求にもとづく政治選択が行われた結果とも言えない。
総選挙後の新たな政治状況のもとでも、国民の世論と運動が政策決定のカギを握り、政治を動かす原動力となる状況は、いささかも変わらない。労働者、国民要求にもとづく共同を広げ、悪政の強行を許さない国民運動の前進に奮闘する決意を新たにしたい。
全労連は、今回の総選挙を要求前進の重要なたたかいの場と位置付け、組合員の政党支持の自由と労働組合の政党からの独立を基本に、消費税増税を中止できる政治、原発ゼロの日本を実現できる政治などを求め、選挙期間中の要求実現の取り組みを重視した。
年末の繁忙時期、春闘準備と連携した総選挙闘争の実践に奮闘した全国の仲間に、心から感謝する。その奮闘が、労働者・国民の要求を選挙の争点に押し上げ、労働者保護の規制緩和の主張を後退させる状況を作り出したことを確信にし、次のたたかいにつなげたい。
今回の総選挙での投票率は59.32%と、戦後最低を記録した。民主党には裏切られた、しかし自民党には、という有権者が、受け皿となる政党をつかみ切れなかった結果である。
それは、解散から投票日まで1カ月余りという短期間の選挙で、しかも公示直前まで政治家の離合集散が繰り返されるという政治の混乱で、総選挙の争点が曖昧になった結果でもある。
先に触れた選挙制度の弊害是正とあわせ、議会制民主主義の形骸化に歯止めを打つ仕組みづくりが強く求められる。その点で、国民の意思を正確に反映し、選挙権を最大限尊重する選挙制度への見直しを求める国民運動前進の先頭に立つことを表明する。
2012年12月17日
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