【談話】第2次安倍内閣の発足にあたって
12月26日の特別国会で、第96代の内閣総理大臣に自民党総裁の安倍晋三氏が選出され、同日中に第2次安倍内閣が発足した。
衆議院選挙で自民党が獲得した得票率は27.6%(比例区)で、同党が大敗した2009年の26.7%と変わらない。
このことでも明らかだが、「世界で一番企業が活動しやすい国」をめざした大胆な規制緩和や教育への介入強化、集団的自衛権行使のための「国家安全保障基本法」制定、自衛隊を国防軍に位置づけること、などの自民党の総選挙公約が国民的な支持を得た訳ではない。
自民党、公明党、民主党が「密室談合」で成立させた消費税大増税と社会保障改悪の具体化や、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉への参加、「安全神話」にしがみついた原発再稼働、米軍普天間基地の沖縄県内移設などの課題で顕著な国民要求と政治動向とのかい離は埋まってはいない。
以上の状況をふまえ、安倍政権と、その与党である自民党、公明党には、国会内の議席数依存ではなく、得票率にも示された国民全体の意思を受けとめる国民生活重視の政権運営を行うよう強く求める。
安倍首相は、2006年9月からの1年間、「美しい国づくり内閣」と命名した内閣で、「戦後レジュームからの脱却」をスローガンに、教育「改革」などの超保守的な施策と小泉構造改革の加速と言う新自由主義改革を同時に進めた。そのような前歴を持つ安倍氏が、改憲など「やり残した課題」に再び手をつけることを「公約」して政権の座に返りさいたことには危機感を抱かざるを得ない。
安倍政権は当面、自公民の「増税大連立」に軸足を置き、2014年4月からの消費税増税を確実にするための大型公共事業のばら撒きを日銀に建設国債を引き受けさせて行う財政規律無視の暴走政治を進めると考えられる。
また、安倍内閣の閣僚の布陣でも明らかなように、「原発維持、推進」の立場にたった施策を強めることも容易に想定される。
加えて、7月の参議院選挙後もにらみつつ、集団的自衛権行使のための国家安全保障基本法の制定などの「改憲連立」を追求することも確実である。
以上の状況認識から全労連は、要求の一致点での共同の前進に奮闘し、安倍内閣の労働者、国民いじめの悪政をくい止めるためたたかいを強める。
2000年代に入って繰り返されてきた改憲策動の歴史の中でも、最も緊迫する状況となっていることを強く意識した憲法擁護のたたかいを再強化する。
国民の世論と運動が政治決定の要の位置にあることを強く認識し、くらし、いのち、権利、平和などの課題での国会闘争を強め、国民的運動の前進に奮闘する決意である。
2012年12月27日
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