【全労連女性部常任委員会の声明】
雇用の分野の規制緩和を許さず、真に男女ともに仕事と生活の両立を実現する施策の拡充を求める
安倍政権は、経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議を立ち上げ、財界・大企業の意向を全面的に受け止めた「規制緩和」政策を推進しようとしている。安倍首相が言う「世界で一番企業が活躍しやすい国」づくりは、日米首脳会議でアメリカに約束したTPP交渉参加とも相まって、アメリカの多国籍企業が日本の労働市場に乗り込んでくる下地作りとなっていることも見逃せない。
規制改革会議の雇用分野ワーキンググループは、規制改革の中身として、ワークライフバランスに配慮したとしながら、労働時間規制の緩和、多様で柔軟な働き方の充実と称して勤務地や職務が限定された新たな雇用形態の創設を打ち出している。また、労働条件変更要件の合理化、派遣法の規制緩和、医療分野への労働者派遣の拡大、有料職業紹介事業の見直し、解雇自由化に道を開く解雇の金銭解決ルールの整備などの検討を行っている。
こうした財界主導の議論の下、4月2日、日本経済再生本部は、政府に対して「行き過ぎた雇用維持型」から「労働移動支援型」政策へのシフト、ハローワークの民間開放、職種や労働時間を限定した「多様な正社員」モデルの確立、待機児解消を口実にした民間企業参入といった多様な形の保育事業拡大などの検討を求めている。
私たちの運動により、1985年、男女雇用機会均等法が制定されたが、同時に「女性は家族的責任があるので『多様な働き方』を用意する」として労働者派遣法が制定された。家族的責任は男女ともに担うものであるにもかかわらず、「多様な働き方」は、女性を差別するしくみとして利用され、さらに女性の非正規化を進め、女性労働者の貧困は深刻化した。
また男女平等を理由として、労基法女子保護規定が撤廃され、長時間労働が強いられてきた。みなし労働時間制度、裁量労働時間制度といった労働時間の規制緩和が推し進められた結果、母性破壊、過労死、メンタルヘルス不全の多発など、いのちまでもが脅かされている。
女性だけに家族的責任を押し付け、雇用形態や雇用管理区分で女性差別を温存する間接差別が是正されない下で、雇用形態差別、労働時間の規制緩和が行われれば男女とも雇用の劣化は加速する。
さらに、政府・財界のいう「解雇の自由化」を行えば、労働者が権利を主張し、職場の労働環境を改善する運動は壊滅的な打撃を受け、憲法27条、28条は形がい化してしまう。
今なすべきことは、男女ともに安定した雇用、人間らしく働くルールの確立である。そのための男女雇用機会均等法・パート労働法の実効ある改正は待ったなしである。
私たち、女性労働者は、安倍政権・財界が狙う雇用の規制緩和を許さない。雇用は臨時的一時的な仕事以外は無期・正規雇用とし、男女とも労働時間の上限規制の強化、パート労働者の均等待遇を実現するための運動に全力を尽くす。
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