【声明】給与改善勧告の見送りに抗議する
1、人事院は本日、国家公務員給与にかかわって、俸給表上の給与額では官民較差が極めて小さいとして、月例給・一時金ともに改定を見送ることや、今後にむけた「給与制度の総合的見直し」などに関する報告を内閣と国会に対しておこなった。
国家公務員に対しては「給与臨時特例法(賃下げ法)」によって平均7.8%の賃下げが実施され、人事院の調査によっても実支給額で民間より7.78%(29,282円)下回っている。公務労組連絡会は、実支給額をふまえた賃金回復・改善勧告を強く求めてきたが、人事院が要求に応えることはなかった。
400万円を超える退職手当削減とあわせて、公務労働者の生活悪化や将来不安がひろがるなかで、賃金改善への切実な願いに背をむけた給与改定見送りは、断じて認められるものではない。
2、国家公務員法28条は「情勢適応の原則」を定め、官民賃金を均衡させるため、人事院には、給与勧告をおこなう義務が課せられている。これに照らせば、実際には3万円近くの官民較差が存在することを人事院みずからが認めながら、それにもとづいて改善勧告しなかったこと自体が、国公法に違反し、本来果たすべき責務を放棄したものにほかならない。また、労働基本権を踏みにじって強行した憲法違反の「賃下げ法」を、「未曾有の国難に対処するため」として是認したことは、労働基本権制約の「代償措置」としての人事院勧告の役割をも投げ捨てるものである。
このように、「第三者機関」としての志(こころざし)さえも失い、政府の公務員総人件費削減方針への迎合・荷担を強める人事院に対して、怒りをもって厳しく抗議する。
3、公務労組連絡会は、13年夏季闘争で、公務・民間、正規・非正規すべての労働者の賃金底上げ、最低賃金改善に全力をあげてきた。11万6千人分の人事院総裁あての要求署名を集約し、ヤマ場の「7・25中央行動」には2千人が全国から総結集してたたかった。
理不尽な地方公務員・教職員への賃下げ攻撃には、消費税増税の突破口としてのねらいなどを国民に訴え、共感をひろげるなかで、政府の当初のもくろみを押し返してきている。
地方交付税削減による賃下げの押しつけを、政府はいますぐ断念せよ。同時に「賃下げ法」を廃止するとともに、人事院勧告制度の「機能不全」がいよいよはっきりするもと、公務労働者の労働基本権のすみやかな回復を強く求めるものである。
4、人事院報告と相前後して、中央最低賃金審議会は、全国平均で時給14円の最低賃金引き上げを答申した。たたかいのなかで二桁台の引き上げへと押し上げたが、「時給1,000円以上」の要求にはおよばず、増え続ける非正規労働者の生活改善という点では、きわめて不十分な答申にとどまった。
早急な改善が求められる公務職場の臨時・非常勤職員の賃金改善、均等待遇実現のたたかいとも結びつけて、引き続く各地の地域最低賃金改善のたたかいに全力をあげる必要がある。
公務労組連絡会は、すべての労働者の雇用と賃金の改善、公務員賃下げ阻止、公務・公共サービス拡充とともに、憲法改悪をはじめ労働者・国民犠牲の安倍自公政権の暴走を許さないため、国民共同をひろげて奮闘する決意である。
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