【談話】消費税率引き上げの早期断念を強く求める
8月12日に内閣府が発表した2013年第2四半期(4〜6月期)の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比0.6%増(年率換算2.6%増)、物価変動を反映した名目値では前期比0.7%増(年率換算2.9%増)であった。
アベノミクスの「三本の矢」のうち、第一の矢(大胆な金融緩和)と第二の矢(機動的な財政政策)が実施され、株価の高騰と急激な円安が進行した時期であるにもかかわらず、国内総生産は政府が言うほどは伸びなかった。
主要項目を見ると、個人消費は0.8%伸びているが、その要因は宝石や時計などの高額商品と猛暑を反映したエアコンなどの購入増だとされている。最も大きく伸びているのは、第二の矢の反映と思われる公共投資の1.8%である。これら公的需要の寄与度が0.3%分と半分を占めている。
その一方で、民間設備投資は前期比でマイナス0.1%である。輸出は3.0%増加しているにもかかわらず、企業の国内投資は冷え込んだままだ。第一の矢(金融緩和)による「金あまり」状態に加え、外需回復の兆しがあるにもかかわらず、企業は国内での設備投資を増やす動きとなっていない。
政府の各種統計でも、労働者、国民のくらしに、アベノミクスの効果が及んでいないことは明らかだ。
家計調査によれば、2013年6月の消費支出は二人世帯以上の世帯は前月比で実質2.0%減少している。勤労世帯を見ても、ボーナス月であるにもかかわらず、前月比で実質0.9%増にとどまっている。
毎月勤労者統計調査によれば、2013年6月の給与総額は、前年同月比で0.1%の微増だが、それはボーナスを含む「特別に支払われた給与」が0.4%増であった結果であり、毎月決まって支給される給与は逆に0.2%のマイナスとなっている。
労働力調査では、6月の完全失業率は前月比0.2ポイントの低下となった。しかし、その内訳は、非正規雇用が前月比0.1ポイント増の1900万人であり、雇用の劣化も続いている。
8月7日に中央最低賃金審議会が厚生労働大臣に答申した2013年度の最低賃金改定目安は、加重平均で14円の引き上げにとどまった。政府が6月に決定した「骨太の方針」では、「最低賃金引き上げに努める」とされていたが、掛け声倒れの審議結果である。にもかかわらず、答申を受けた政府は、最低賃金引き上げに向けた新たな動きを示そうとはしていない。
8月5日に、政府の社会保障制度改革国民会議が取りまとめた報告書は、医療・介護、年金、保育など制度全般にわたって、給付の削減と新たな負担増を強いる内容となっている。この報告書にもとづく制度改悪と消費税増税で20兆円をこえる負担増となる。
安倍内閣は、国民にかつてない負担増を迫りながら、賃金・所得の改善策は十分に行わず、アベノミクスの効果を労働者・国民に及ぼす他の施策も取ろうとしていない。
このままで消費税増税を実施すれば、労働者・国民の生活は壊され、委縮している国内消費を大きく冷え込ませて国内経済に深刻な影響を与えることは、火を見るより明らかである。
政府は、2013年度第2四半期の景気動向をみて、消費税増税の可否を判断するとしてきた。このことを誠実に履行する立場に立ち、労働者、国民のくらしが改善されていない事実を直視して、今すぐ消費税増税を断念するよう強く要求する。
2013年8月19日
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