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【談話】男女雇用機会均等法見直しにあたっての厚生労働省労働政策審議会のとりまとめ「今後の男女雇用均等対策について」の報告にあたって

2013年9月27日
全国労働組合総連合 事務局長 小田川義和

 本日、厚生労働省労働政策審議会雇用均等分科会は「今後の男女雇用機会均等対策について」(報告)を確認し、労働政策審議会に報告した。この報告は、2007年に改正された男女雇用機会均等法の付則第5条の規定に基づき昨年10月以降、同法の施行状況などを勘案し、同法の実効性について審議を行いまとめたものである。
 全労連は、均等法が、真に男女平等な働き方に資する法律となることを求めて「男女雇用平等法」への改正を求めて運動をすすめてきた。しかし発表された「報告」は指針などの改定にとどまり、日本の女性労働者が置かれている差別状況を改善する実効性が極めて薄く限定的でり、極めて遺憾である。
 まとめでは、「均等法施行から27年、女性の職域拡大、管理職比率の上昇につながっている」と一定評価しつつも「出産育児により離職する女性は少なくなく、女性のキャリア形成が困難」「管理職比率などにおける男女格差解消のテンポは緩やか」「コース別雇用管理において総合職女性の採用がすくなく女性の割合は低い」などの実態を指摘している。また、こうした問題を解決するためにとして、「結婚していることを理由として職種を変更することを差別に該当すると指針に規定する」「間接差別の事例とされるコース別雇用管理における総合職の募集・採用について現行の総合職に限定された記述をみなおし、募集・採用、昇進、職種変更にあたり転居を伴う転勤に応じることができることを要件とする省令・指針の改定」「コース別雇用管理についての局長通達を指針に格上げする」「セクハラの予防の徹底と事後対策を明確にした指針にみなおす」「ポジティブアクションの効果的な推進」「均等法の周知徹底」を対策として挙げている。

 全労連は、社会保険診療報酬支払基金で行われている昇格時の差別や、銀行職場の雇用管理区分における差別の実態をもとに、15,000人を超える署名を背景に実効ある改正を求めてきた。今回の報告が、支払基金で行われている間接差別を是正させる上で有効な手掛かりとなるものと受け止める。
 しかし、現在、女性労働者は半数以上が非正規雇用であり、正規雇用でも総合職採用はごくわずかである。また、正規労働者のはたらき方が、成果・能力主義や長時間・過密労働という過酷な実態であるために、出産を契機に離職を余儀なくされる多数の女性労働者が存在する。世界に類をみないM字型の雇用カ−ブは、国内外からも問題視され、マタニティー・ハラスメントということばもうまれる深刻な実態もある。こうした背景により女性の賃金は男性の半分である実態も改まっていない。これらの実態は国連女性差別撤廃委員会、人権規約委員会からも指摘され、是正のための実効ある措置が求められていた。そのことからすれば、報告は不十分であり、国際的な基準にも留意した引き続きの検討が求められる。
 安倍政権は、「女性の活躍」推進を言いながら、労働者派遣法、労働時間規制の緩和を狙い、限定正社員制度の普及をもくろんでいる。これらの労働者保護の規制緩和が、雇用の場における男女平等の妨げになることは明らかである。全労連は引き続き、性による雇用差別の解消を求め、労働法制改悪反対のたたかいと一体でとりくみをすすめる。

 
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