【談話】社会保障改悪プログラム法案の委員会採決強行に抗議する
衆議院厚生委員会は本日15日、野党の強い反対を押し切って、いわゆる「プログラム法案」(持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案)の採決を強行し、自公の賛成多数で可決した。短期日の審議を通じても法案の問題点が鮮明になり、野党が一致してさらなる審議を求めるなかでの採決強行であり、全労連は拙速な採決強行に強く抗議する。
第一に指摘すべきは、「このような法律がそもそも必要か」という疑念が湧き起こるなかでの採決となったことである。「プログラム法案」は、今後の社会保障制度「改革」(改悪)の工程をあらかじめ決めるものだが、肝心の「改革」の内容の大部分が今後具体化となっていることが、審議を通じてより鮮明になった。中身も示さず、今後の社会保障大改悪の日程(工程)だけを国会と国民に押し付けるものであり、議会制民主主義のうえからも許されるものではない。医療や介護、年金等の個別法案が今後必須なのだから、そのなかで論議をつくせばよいのであって、このような法律はそもそも必要ないといわざるを得ない。
第二に指摘すべきは、短時間の審議のなかでも、政府のねらう「改革」が国民のいのちを脅かす社会保障大改悪であることが明らかになったということだ。厚労大臣等の答弁によって、想定されている「改革」は、昨年の三党合意による社会保障制度改革推進法にもとづいて、「自己責任」を基調とした負担増と給付の抑制(社会保障サービスの後退)であることが鮮明になった。また、消費税増税は「財政健全化」のためであり、社会保障拡充が目的でないことも答弁で明言された。貧困と格差がますます深刻化し、受診中断や介護難民が社会問題となるなかで、いのちを脅かす制度改悪は許されない。
消費税率の引き上げ中止のとりくみと一体で、参院段階では審議を尽くさせ、「プログラム法案」を廃案とするため、全労連は国民的な声と共同をいっそう強化していく。生活保護改悪二法案の廃案とあわせて、憲法25条にもとづく社会保障の拡充を求めるとりくみを発展させる。
2013年11月15日
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