全労連事務局長談話
2013年12月5日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川義和
【談話】民法の婚外子相続差別撤廃についての改正案成立に関しての談話
5日未明、民法の婚外子の法定相続分を婚内子の2分の1とする規定を削除する改正法案が全会一致で可決成立した。9月4日、最高裁判所大法廷は、婚外子相続分規定を憲法違反であると決定した。判決は、婚姻や家族の形態および国民の意識の多様化を指摘するとともに、世界の潮流、国際人権基準にも言及し、その上で、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法の規定に照らして婚外子差別を不当と認めたものである。今回の民法改正は判決を受けての改正であり、当然行われるべき改正であった。
しかし、出生届に嫡出子、非嫡出子の記載を義務付ける戸籍法改正を求める議員立法は117対118の1票差で否決された。婚外子相続分規定が削除されたにもかかわらず、戸籍法の見直しを行わなかったことは、差別解消に消極的な姿勢を示したものに他ならない。
女性差別撤廃委員会は2009年、日本政府への多くの勧告の中でも、女性差別を法的に規定する民法の改正を厳しく求め、婚外子差別のほかに、選択的夫婦別姓実現、婚姻年齢の男女統一、再婚禁止期間の廃止を含む改正を、緊急重要課題としてフォローアップ項目に選定している。
1996年に法制審議会が民法改正法律案要綱を答申したのは婚外子相続分規定だけではなく、夫婦同姓の強制、女性のみに適用される再婚禁止期間、婚姻最低年齢の男女差別などの法改正も求めていた。これらの差別的規定については国連女性差別撤廃委員会などからも繰り返し改善勧告が出されており、直ちに法改正が必要である。
全労連をはじめ、多くの女性団体が毎年、民法のすべての差別規定を撤廃することを求めて、国会請願を積み重ねてきた。政府・国会は請願を真摯に受け止め、法の下の平等を謳う憲法にもとづき、一日も早く民法の差別的規定のすべてを廃止する改正を行うことを求める。
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