【談話】「特定秘密保護法」の強行採決に怒りを込めて抗議する
特定秘密保護法案は、12月5日の参議院安全保障特別委員会で審議を打ち切って強行採決され、6日の参議院本会議でも自公両党の賛成多数で強行された。
国内外から極めて広範に特定秘密保護法案への批判と懸念が寄せられ、廃案もしくは慎重審議を求める声が国民世論の多数となっていた。
国民多数の声を無視し、主権者の知る権利や表現の自由という基本的人権を侵害し、民主主義の根幹を突き崩しかねない重大な法律を、国会内の数の力で成立強行させた安倍政権と与党・自公両党に、満身の怒りを込めて抗議する。
直近の国政選挙、2013年参議院選挙で自民党も公明党も「特定秘密保護法案」には一言も言及しておらず、国民の審判を経た政策課題ではない。法案の重大性をふまえれば、国民の信を問うべき特定秘密保護法案であった。にもかかわらず、安倍政権と自公与党は、国会での多数議席の獲得を国民の白紙委任と履き違え、極短時間の審議で採決を強行した。
このような政治姿勢は、民主主義の対極にある独裁の行為に等しく、主権者の負託に応える姿勢とは到底言えない。
問題のある法案が、説明責任も果たされないまま、国会内の数の力で成立させられようとしている時に、異議を申し立て、抗議の声をあげ、行動を起こすことは主権者としての国民の当然の権利である。にもかかわらず、自民党石破幹事長は、そのような国民の行動を「本来の民主主義と異なる」と批判した。
この点も含め、今回の特定秘密保護法成立に至る経緯は、安倍政権の独裁的な姿勢を露わにしたものであり、強く抗議の意思を表明する。
参議院特別委員会での強行採決に先立って、与党は日本維新の会、みんなの党との実務者会談に「『特定秘密』の指定の妥当性をチェックする新たな機関を内閣府に設置する」ことや「同機関の独立性担保についての法改正」、国会での特定秘密にかかわる監視機関の検討などを提案した。また、菅内閣官房長官は、「国民の疑問には法案成立後十分に説明する」と記者会見で述べた。
法案の成立前から「改正」を確約し、法案提出の責任者が国民への説明不足を認めたことは、採決強行の道理のなさを自明したものである。にもかかわらず、採決日程ありきで採決強行に暴走した安倍政権の国民軽視の姿勢は、歴代内閣の中でも突出している。
このような独裁的な手法で国政を運営する安倍政権を信任することはできない。
衆議院に続き、「良識の府」と言われる参議院でも、法案審議を打ち切って強行採決せざるを得なかったことは、国民の運動、たたかいの前進を反映したものである。
この点に確信を持ち、特定秘密保護法の施行に断固反対するとともに、同法の廃止を求めるたたかいをこの瞬間から開始し、国民各層との共同に奮闘する決意を表明する。
2013年12月6日
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