【談話】「戦争ができる国」への暴走に強く抗議する
安倍首相の靖国参拝を個人の「信条」として見過ごすことはできない
12月26日午前、安倍首相は、東京・九段の靖国神社に参拝した。国民感情や第2次世界大戦後の国際秩序、韓国、中国などの近隣諸国との友好関係への配慮を欠き、それらを著しく蹂躙する安倍首相の行為に、満身の怒りを込め、強く抗議の意思を表明する。
靖国神社は、日本の過去の侵略戦争遂行の「道具」とされた歴史がある。にもかかわらず、戦後も一貫して、侵略戦争を「自存自衛の正義のたたかい」、「アジア解放の戦争」と美化し、その主張を宣伝、流布する施設として存在し続けてきた。
その施設に、政府のトップが参拝することは、その形態如何にかかわらず、侵略戦争を肯定する立場に日本が立っていることを世界に宣言するに等しい行為である。
今回の安倍首相の靖国参拝に対し、韓国政府が「誤った歴史認識をそのまま表したもので・・・東アジアの安定と協力を根本から損なう時代錯誤の行為」と厳しく非難し、中国政府が「国際正義への公然たる挑戦」と強く抗議したのは当然のことである。
同盟国であるアメリカからも「失望」が伝えられたように、「英霊に尊崇の念を表明することは国のリーダーの役割」などという安倍首相の主張は独善的なものであり、国際社会からも到底受け入れられるものではない。
夏の参議院選挙後、「戦争ができる国」づくりに向けた安倍首相の独裁的暴走が続いている。先の臨時国会では、国家安全保障会議設置法や特定秘密保護法の成立が強行された。
臨時国会後は、設置した国家安全保障会議の「密室」で、専守防衛という自衛隊のあり様を大きく変更する「国家安全保障戦略」などを決定し、アフリカ・スーダンでの紛争の激化を口実に、過去の政府答弁に反する韓国軍への「1万発の銃弾提供」を決定するという異常な状況が続いている。
消費税増税と社会保障改悪を前提とする2014年政府予算原案の中で、防衛費関係費は4兆8846億円(2.8%増)の突出した額を確保するという軍事大国化の姿勢も明確である。
このような、「戦争ができる国」に向けた諸条件整備の延長線上に、今回の靖国参拝があることは明白である。この点で、今回の靖国参拝は、憲法に依拠した「平和な日本」の実現を求める国民世論に真っ向から挑戦する安倍首相の姿勢を示したものでもある。
国民世論にも、国際社会の秩序にも挑戦し、「戦争ができる国」づくりを進める安倍首相の独裁的暴走をくい止め、破たんに追い込むため、国民的運動を全国に広げていくことが求められている。
全労連は、国民諸階層、市民のたたかいとも連携し、2014年早々から、 憲法改悪、 雇用・くらし破壊の暴走政治阻止のたたかいに奮闘する決意である。
2013年12月27日
|