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【談話】福島事故への反省なき「エネルギー基本計画」の即時撤回を求める

 本日政府は、東京電力福島第一原発事故後のエネルギー政策の柱となる「エネルギー基本計画」(基本計画)を決定した。
 その内容は、原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置づけ、「2030年代に原発稼働ゼロが可能となるよう、あらゆる政策資源を投入」するとした2012年9月の「革新的エネルギー・環境戦略」からも大きく後退し、原発稼働ゼロを求める多くの国民の声を真っ向から否定するものである。
 「原発ゼロ」を強く求める主権者・国民の意思を蹂躙し、電力会社や原子炉メーカーなどの「原発利益共同体」と目先の経済的利益追求にのみ固執する財界、大企業の求めに応じる内容の「基本計画」に厳しく抗議し、その撤回を強く要求する。

 福島原発事故で故郷を追われた14万人もの人々が今なお厳しい避難生活を送り、生活を取り戻す希望さえ見いだせていない。原子炉からは大量の放射能が漏れ続けており、収束には程遠い状況にある。福島原発事故への対応は不十分なまま、原発を主要なエネルギー源と位置づけることは、事故に対する政府の責任からしても許されるものではない。
 使用済み核燃料が大量に蓄積されているが、その処分の見込みは全く立っていない。政府が多額な予算を投入した「核燃料サイクル」は再処理工場も高速増殖炉も稼働の見込みが立っていない。「トイレなきマンション」状態の改善の目途は全く立っていないもとで、なお原発を稼働させ続けるとする「基本計画」は、無責任極まりないものである。

 エネルギー政策の基本的視点として、安全性を前提に、安定供給を第一に、最小限の経済負担で、同時に環境に適合することという「3E+S」が強調されている。
 福島原発事故の現状に向き合えば、原発は、その安全性は全く確認できない。一度事故が起きれば再び稼働することはできない不安定さを内在している。事故処理費用、賠償費用、除染費用、廃炉費用など明らかになっているコストだけでも経済的とはいえない。放射能が地球規模で環境損なうことも明白になっている。
 これらの点は、「基本計画」では全く斟酌されず、あたら目先の経済コストのみが強調されている。このようなごまかしで「基本計画」を策定することは許されるものではない。

 昨年9月に関西電力大飯原発が停止した以降、日本は再び「原発ゼロ」の状態となっている。円安効果で輸入品の高騰が生じるなど、エネルギーを輸入に頼ることのリスクも明らかになっている。
 このことからしても、依存度を高めれば高めるほど安価になり、環境負荷のない安全なエネルギー源である再生可能エネルギーへの転換を進めることこそ求められる。「基本計画」では、その点が曖昧にされたままである。
 原発依存の「基本計画」は撤回し、再生可能エネルギーを「重要なベースロード電源」に位置付け、原発ゼロを宣言する内容に改めるよう重ねて求める。

  2014年4月11日

全国労働組合総連合
事務局長  小 田 川 義 和

 

 
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