与党は昨日14日、全野党の強い反対を押し切り、医療・介護総合法案の委員会審議を打ち切って採決を強行し、本日の衆院本会議で可決して、参院に送付した。
衆院厚生労働委員会での質疑は6日(38時間)、参考人質疑や公聴会を除けばわずか29時間に過ぎない。関連性の薄い19本もの広範な法案であるにも関わらず、極めて短時間の審議であり、徹底審議を求める広範な声と運動を無視した与党の横暴な国会運営に強く抗議する。
短時間の審議の中でも、同法案の持つ危険性がますます明らかになった。
介護については、150万人もの要支援の方を介護保険から外して地域支援事業に移すが、すでに3〜4割の自治体が「無理だ」「できない」といっていることや、予算の枠がはめられ、提供する介護の質を切り下げざるを得ない仕組みとなっていること、さらに「必要な人は専門的なサービスを引き続き受けられる」との政府説明は誤りで、大多数が専門サービスから排除されることなどが明らかになった。
また、医療についても、病床機能報告制度などがベッド削減に本格的に踏み出すものであって、患者の病院追い出しが急速にすすむ危険性が鮮明になった。政府は「入院から在宅へ」と説明しているが、社会保障費抑制のために医療も介護も切り下げであって、実際には、在宅の受け皿の整備もないままに、患者を病院から放り出すものである。
こんな改悪が強行されれば、現在でも問題となっている医療難民や介護地獄がいっそう深刻化する。国民のいのちや安全を危険にさらすものといわざるを得ない。そして、公的保険の給付範囲を縮小し、営利を目的とした民間企業や保険会社の儲けの場に変質させていくものである。消費税増税の一方で、国の責任を大幅に後退させ、地方自治体と患者・利用者に負担と責任を押し付ける大改悪であり、国民の負託を二重三重に裏切るものとして厳しく批判されねばならない。
4月24日には5000名超の参加でヒューマンチェーン行動がとりくまれるなど、反対の運動が大きくひろがっている。自治体の意見書や請願も短期日に200を超えた。
こうした国民の声や不安を受け止め、参院段階の審議では、一つ一つの法案を慎重に審議し、問題点を明らかにしたうえで、憲法25条に反して社会保障を解体に導きかねない医療・介護総合法案を廃案にすべきである。
全労連は廃案を求め、引き続き運動を職場、地域から強めていく決議である。
2014年5月15日
全国労働組合総連合
事務局長 小 田 川 義 和