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【談話】「戦争する国」への改憲は、どのようなかたちでも断じて認められない
−「安保法制懇」最終報告と政府の「基本的方向性」表明にあたっての談話 −

 5月15日、首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は「報告書」をとりまとめた。これを受けた安倍首相は、「報告書」がお墨付きを与えたとして、政府の憲法解釈を変更して集団的自衛権を行使する「基本的方向性」を明らかにした。
 これまでの政府の憲法解釈で容認するとしてきた「自衛のための武力行使」の範囲には、日本と密接な関係にある他国が攻撃をされた際の集団的自衛権も、国連の集団的安全保障措置に参加して武力を行使することも含まれていない。また、他国の領土や公海上で他国民に銃口を向け、殺害し、日本人を戦争に駆り立てて銃口の前に立たせる「武力行使」を現行憲法は認めていない。「報告書」も「基本的方向性」もこの点には全くふれず、国民的な議論も積み上げないまま、公表された。

 60数年前の憲法制定国会で、憲法9条1項に「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」するとの条文が付加された。この歴史の事実が示すように、日本国民は対話と外交努力によって国際平和の維持に努力することを国に求めている。
 「我が国をとりまく安全保障環境の変化」があったとしても、現行憲法下では、紛争の解決を武力行使にゆだねることを国民の総意である憲法は原則として否定しているのである。
 これが国民の意思であり、国政運営の基本原則として確立した憲法解釈を、安倍政権だけで変更し形骸化させることは、憲法に従った行政実施を求める立憲主義の原則にも反する。仮に、このような手法が認められるとすれば、憲法は国の基本法としての存在意義を失うばかりか、日本は法治国家としての前提を失うことにもなりかねない。

 「報告書」を受け取った安倍首相は「基本的方向性」に基づく検討を与党に要請した。与党の検討は、集団的自衛権行使を想定する「限定事例」に基づいて行うこと、その際に領海や離島で他国の武装集団が不法行為を行っている場合の自衛隊の対応など、「グレーゾーン事例」から始めることとしている。
 現実的に発生しえず、かつ個別的自衛権や警察権行使で対応可能な「事例」で自衛隊の活動領域を広げ、集団的自衛権行使につなげようとする「姑息」な論議手法と言わざるを得ない。
 「安保法制懇」の構成や論議経過も含め、結論ありきで議論を誘導する非民主的な手法は、他国との武力行使という重大事を論議するには最も相応しくないものである。
 集団的自衛権行使は許されないとしてきたこれまでの解釈を丁寧に説明し、そのどこを手直ししたら解釈変更が可能なのかを、少なくとも政府はよく説明した上で、国民的な論議を呼びかけるべきである。その最低の責任すら安倍政権は全く果たしていない。

 憲法を守りいかす立場の人々や、あらゆる戦争に日本が参加することに反対する人々だけでなく、集団的自衛権を日本が行使するには明文改憲によらなければならないと考える人々も含め、多数の国民が安倍政権の解釈改憲の暴走に危機感を強め、反対の声をあげている。様々な世論調査でも、集団的自衛権の行使容認反対が賛成を上回っている。
 全労連は、戦後最大の危機に憲法が直面している今、集団的自衛権行使を容認する解釈改憲を阻止するため、あらゆる立場の解釈改憲反対の人々と共同を追求し、国民運動を大きくするために奮闘する。
 たたかいを全国で強めるためにも、500万筆を目指して取り組んでいる「かがやけ憲法署名」のとりくみを飛躍的に前進させるよう全国の組合員に強く訴える。

2014年5月15日

全国労働組合総連合
事務局長 小 田 川 義 和

 
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