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川内原発の「審査書案」についてのパブコメ

原子力規制庁原子力規制部安全規制管理官付
   パブリックコメント担当者 御中

【住所】東京都文京区湯島2-4-4全労連会館4F

【氏名】小田川義和(全労連議長)

【連絡先】tel 03-5842-5611
fax 03-5842-5620
mail morimoto@zenroren.gr.jp

【意見提出個所】

1.「意見公募」の範囲
(「審査書案」には触れられていない事項)
(表記「九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置許可申 請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について」)

2.地震・津波対策について

3.火山対策

川内原発1・2号機の原子炉設置変更許可申請書に関する「審査書案」に対する意見

小田川義和(全労連議長)

1.「意見公募」の範囲について
(「審査書案」には触れられていない事項)
 「意見公募」は、予め「科学的・技術的なご意見」のみに限定している。しかし、川内原発再稼働については、科学的・技術的意見のみに限られない、さまざまな住民の不安・疑問がある。
 川内原発の再稼働に対して、住民の最も大きな不安・疑問は、福島原発事故の再発防止の保障があるのかどうか、万一の事故時に住民の安全が守られるかどうかにある。つまり、川内原発の苛酷事故対策と原子力災害対策、避難計画が万全であるかどうかにある。本来、「意見公募」は、こうした住民の不安・疑問に積極的に応えるものでなければならない。「意見公募」の範囲を抜本的に改めることを要望する。
 川内原発の苛酷事故対策について、規制委の「新規制基準」が福島原発事故の検証にもとづくものでない以上、福島原発事故の再発防止の保障はない。ここに住民の不安・疑問の根源がある。規制委は、これに真摯に応える責務があるがことを改めて指摘する。
 また、川内原発の原子力災害対策、避難計画については、災害対策基本法にもとづく地域防災計画のなかに原子力発電所対策編としての策定が関係自治体に義務づけられているが、鹿児島県知事は、「30キロ圏内」の避難計画等の策定は不可能だと明言している。一方、規制委は、原子力災害対策指針を示し、その策定を関係自治体の丸投げしているだけで、原子力災害対策、避難計画について、「新規制基準」の「適合審査」の対象としていない。このような現状では、住民の不安・疑問が解消されることはありえない。
 さらに、規制委の田中俊一委員長は「新基準への審査は適合といったが、安全だといっていない」と再三発言している。合わせて、田中委員長は「原発再稼働の判断はしない」と発言している。一方で安倍首相は、「世界一厳しい安全基準だ」と言っている。茂木敏充経産相は、再稼働の判断について、「法的には政府にあるとは書いていない」として、従来の推進体制のあり方を否定し、再稼働の判断は「事業者にある」としている。これは、再稼働の責任のなすり合いであり、このような曖昧な状況での原発再稼働はありえない。

2.地震・津波対策について
 川内原発の基準地震動について、川内1号機は設計地震動「S2 270ガル」、2号機は「同372ガル」であったものを、その後「Ss540ガル」となり、今回は「620ガル」に引き上げられた。
 また、津波の高さは、「4メートル」から「6メートル」に引き上げられた。
 審査書案は、これらを「適合」と確認したとしている。
 しかし、この川内原発の基準地震動の策定に当たって、西南日本から琉球にかけての地域を震源とする、南海トラフと琉球トラフが連動する超巨大地震については想定されていない。
 国の防災対策において、東海地震、東南海地震、南海地震が連動する巨大地震の襲来は想定されるに至ったが、この超巨大地震については想定されていない。中部電力・浜岡原発では、最近になって、巨大地震を想定するようになり、防潮堤の嵩上げをしたが、超巨大地震は想定されておらず、この事情は、川内原発でも同じである。
 今回の基準地震動と津波の高さの引き上げが、この超巨大地震が川内原発を襲った際を考えれば、いずれも、あまりもの過小評価ではないかの懸念を捨てきれない。
 不十分な審査基準による適合の抜本的な見直しを求める。

3.火山対策について
 川内原発がある九州は、鹿児島地溝に沿って南北に、阿蘇カルデラ、加久藤・小林カルデラ、姶良カルデラ、阿多カルデラ、鬼界カルデラなど大噴火型カルデラがつながって存在している。
 火山対策について、「審査書案」は、九州電力が「鹿児島地溝(加久藤・小林カルデラ、姶良カルデラ及び阿多カルデラが含まれる)」について「(川内原発の)運用期間中における…噴火の可能性は十分低い」としていることについて「妥当である判断した」としている。これは九州電力が、一連のカルデラの大噴火について、個別・詳細な検討もしないままに恣意的に判断したものを、追認したものでしかない。
 また、「噴火可能性につながるモニタリング結果が観測された場合には、必要な判断・対応をとる」としているが、その場合、「必要な判断・対応をとる」の内容は、どのようなものなのか、必要な対応への時間的余裕がどのくらいあるのか、さえわからない。
 火山専門家の英知を集め、判断の再検討を求める
 以上から基準に適合したからとって、川内原発の再稼働は断固として認められない。

以上

 
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