「規制改革会議答申」を受けて、政府が「骨太方針2014」に位置づけた「農業改革」は、安倍首相の「日本を世界で一番企業が活躍しやすい国」をつくる成長戦略の一環として、日本農業と国民の食を支えてきた家族農業を否定し、農業と農地を企業のもうけのために開放するもので、その障害となる農協や農業委員会の解体を提言しています。
農協(JA)中央会の新たな組織への改編、連合会組織の株式会社化、さらには単位農協から信用と共済事業を分離することは、家族農業や地域経済を支え、地域のインフラを提供している農協の役割を否定するものです。また、農協の持っている資産を大企業の餌食として差し出すものです。
この「改革」のもたらすものは、農業生産を縮小させて国民の食料をますます不安定化させ、農協や関連産業の雇用の喪失、地域経済の破壊、人の住めない農山村の加速化にほかなりません。
さらに、ICA(国際協同組合同盟)会長が批判するように、自主的に運営されるべき協同組合の原則を否定するものであり、その影響は農協だけにとどまらず、消費生活協同組合や共済協同組合にも波及するでしょう。
私たちは、このような大企業の儲けのための農業・農協つぶし、地域経済と雇用の破壊に断固反対します。
地域の再生・発展や、格差と貧困の解決が焦眉の課題になっているいま、協同組合や、国連も推奨する家族農業こそ大事にされなければなりません。
農業生産法人の資格要件の大幅緩和をはじめ、企業の農地取得に道を開く農地法の改悪、農業委員の首長任命制や地域農業振興への農業委員の権限をなくすなど、「農地の番人」である農業委員会つぶしも許されません。
私たちは、この日本と地域の将来をかけたたたかいに、全力を挙げて取り組むことをよびかけます。全国各地で労働者、農民、消費者が共同して、次の取り組みをすすめましょう。
1.安倍「農政改革」の問題点を学び、多くの人たちと共有しましょう。
2.「『農業改革』の名による農業・農協つぶしをやめ、地域を守る国会請願署名」を広げましょう。
3.自治体をはじめ、地域のさまざまな団体を訪問・懇談し、共同をすすめましょう。
2014年9月17日
全国労働組合総連合議長 小田川義和
全国農業協同組合労働組合連合会中央執行委員長 齋藤 裕
農民運動全国連合会会長 白石淳一
新日本婦人の会会長 笠井貴美代
日本自治体労働組合総連合中央執行委員長代行 猿橋 均
全国生協労働組合連合会中央執行委員長 北口明代
国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会事務局長 坂口正明