本日、第187回臨時国会が召集された。安倍政権は、内閣改造にくわえ、地方創生や女性の活躍など中身の伴わない法案で目先を変え、「アメリカと一緒に戦争する国」づくりと、働く人々や地域社会の犠牲のうえにグローバル大企業の利益に全面奉仕する「世界で一番企業が活動しやすい国」づくりという強権的な「二つの暴走」をいっそう乱暴に加速させようとしている。それは、国民のくらしと日本経済を危機に導くものにほかならず、断じて容認できない。全労連は安倍政権の早期退陣を強く求め、草の根からの国民的な共同で反撃していく決意である。
安倍政権は憲法違反の集団的自衛権行使容認の閣議決定を7月1日に強行し、辺野古への新基地建設に着手するなど、「戦争する国づくり」を推しすすめている。にもかかわらず、いっせい地方選挙への影響を懸念して安保法制の論議を先送りする姑息な策を弄し、既成事実を積みあげようとしている。また、少なくない閣僚が極右集団との深い関係を取り沙汰されている。このように、安倍政権は日本とアジア、世界の平和と友好、民主主義の脅威となっているのであって、もはや早期退陣しかない。
労働法制や社会保障、教育、農業など、働く人々や国民のくらしに対する攻撃も重大である。労働法制についていえば、通常国会では審議入りすらできず廃案となった労働者派遣法「改正」法案が閣議決定され、本日、国会に再提出された。「臨時的・一時的な業務に限定する」という大原則が事実上取り払われ、低賃金のいつでもクビを切れる不安定な雇用が当たり前の働き方になりかねない大改悪である。政府の審議会では、「残業代ゼロ」制度や裁量労働制の大幅な要件緩和など、8時間労働制の大原則を骨抜きにする大改悪も論議され、来年の通常国会への法案提出をめざしている。雇用破壊をいっそう促進し、日本中をブラック企業にしかねない大改悪であり、全労働者的なたたかいで断固阻止しなければならない。
安倍政権が、消費税率を10%に引き上げることを臨時国会終了後の年内にも決定しようとしていることも重大である。今春の税率8%への引き上げなどによって、GDPは年率7.1%の「想定外」の落ち込みとなり、実質賃金も前年比3%を超える大幅なマイナスとなっている。こうした事実が示すように、日本経済は「危険水域」に突入したといわざるを得ない。国民のくらしのためにも、また、日本経済の回復のためにも、労働法制や社会保障の改悪を直ちに中止し、雇用の安定とすべての働く人々の賃金引き上げ・底上げの実現によってくらしを安定させ、内需を回復させることこそ、政府が果たすべき第一の責務である。それに真っ向から逆行する消費税率の引き上げを検討し、法人税率は逆に引き下げようとしていることは断じて許されない。
安倍政権がすすめる「二つの暴走」の本質は、戦争放棄、恒久平和を土台に主権在民と基本的人権の尊重を高らかにうたった憲法の基本原則の全面否定にほかならない。一内閣がこのような憲法違反の策動を強権的に推しすすめることは認められるものではない。
全労連は「憲法を守り、いかす」を合言葉に、安倍政権の「暴走」と対決し早期退陣に追いこむため、かがやけ憲法キャラバンをはじめ国民的な共同で積極的な役割を果たしていく決意である。憲法をいかして、働く人々や地域社会が元気な日本をめざして共同をひろげることを呼びかける。
2014年9月29日
全国労働組合総連合
事務局長 井 上 久