安倍政権は、今国会で労働者派遣法「改正」法案の審議を行い成立させるとしている。
安倍首相が、派遣法「改正」を「女性が輝く」ための施策であるかのように詭弁を弄していることに、女性労働者は満身の怒りを込めて抗議する。
閣議決定された法案は「派遣労働は、臨時的・一時的なものに限る」という常用代替防止原則を投げ捨て、企業が永続的に派遣社員を使い続けることができるようにするものであり、派遣労働者には、実効性ある雇用安定措置も、均等待遇も、派遣先企業との団体交渉権も、保障していない。労働者を使用する企業(派遣先)も、雇用する企業(派遣元)も、事実上、雇用責任をはたさずに企業の都合で労働者を使い捨てにすることができる仕組みとなっている。
現在、派遣で働く女性たちは、企業の都合でいつでも首切り可能な働かされ方を強いられている。派遣、請負など雇用形態を変えながら同じ派遣先に使いまわしされ、派遣先は雇用責任を免れ、生産調整だと一方的に解雇される。派遣労働者が妊娠を派遣先に告げたとたん「不良品」呼ばわりされ派遣元に「返品」される。そして35歳を過ぎると派遣先が極端に少なくなる。このように、いつでも使い捨て自由、無権利な働き方に多くの女性労働者が、労働者としての尊厳を踏みにじられている。
男女雇用機会均等法の制定と同時に労働者派遣法が、「女性が働きやすい働き方」ともてはやされて成立した。1985年に両法律が成立してから30年経過しようとしているが、女性労働者の6割が非正規雇用に置き換えられ、高卒女子の初職での非正規率は5割に至っている。第1子の妊娠出産を契機に仕事を辞めざるを得ない女性の状況も30年間改まっていない。
今回の派遣法の改悪が成立すれば、女性労働者のみならず、すべての労働者が、安くて、使い捨て自由の労働者への置き換えが進み、雇用の在り方が根底から変えられ、劇的に劣化していくことは容易に予測される。
労働者派遣法改悪法案の審議入りをやめ、即時廃案とすること強く求める。
2014年10月27日
全労連女性部長 長尾ゆり