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【談話】「公務員賃下げ違憲訴訟」の不当判決に抗議する

 東京地裁民事19部(古久保正人裁判長)は10月30日、「給与改定・臨時特例法」によって2012年4月分の国家公務員給与から人事院勧告を無視して強行された平均7.8%もの減額に対して、日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)と組合員370名が申し立てていた差額賃金の支払いと損害賠償を求める「国家公務員賃下げ訴訟」についての判決を申し渡した。
 判決は不当にも、憲法28条には違反しないと判示し、また、国公労連との誠実交渉義務違反も認定せず、原告らの請求をすべて棄却しており、断じて容認できない。厳しく抗議する。

 憲法28条はすべての労働者に労働基本権を保障しているが、国家公務員は労働基本権が制約され、争議権と労働協約締結権が不当にも剥奪されている。人事院勧告制度はその代償措置として、給与などの労働条件について勧告するものであるが、今回の賃下げは、人事院勧告制度を完全に無視して給与を一方的に減額したものである。この間の判例法理に照らしても、国家公務員の労働基本権剥奪の「合憲性」の前提を崩す不当判決というほかない。

 判決は、「人事院勧告には拘束力がない。他方で、勤務条件法定主義、財政民主主義に基づき立法裁量がある」との国の主張を容認し、「我が国の厳しい財政事情」と「東日本大震災に対処する必要性」があるとの理由で、「合憲」と判断し、さらに、本件給与減額がILO87号条約(結社の自由及び団結権保護条約)や98号条約(団結権及び団体交渉権条約)に違反しないとした。国家公務員の人権を無視して無権利状態に置くものであり、とうてい容認できない。

 判決はまた、人事院勧告を経ない給与減額について、国家公務員の労働組合との交渉の義務を極めて限定している点も大きな問題である。つまり、同判決は政府と国公労連との実質的な協議がなされていないことを認定しておきながら、形式的な資料の提示と交渉の回数を取りあげて、原告らの主張をことごとく退けているのであって、団体交渉権を形骸化させる不当なものである。

 国公労連と原告らは、給与減額措置の違憲無効認定と差額賃金、損害賠償の支払いを求めて控訴し、控訴審において必ず逆転勝訴判決を勝ち取る決意を直ちに表明した。同時に、すべての労働者の権利擁護、賃上げと安定した雇用の確保など、憲法にもとづく基本的人権の保障をめざし、いっそう奮闘する決意を示している。
全労連は東京地裁の不当判決に強く抗議するとともに、国公労連と原告団を支持し、「公務員賃下げ訴訟」の勝利に向け支援を官民あげていっそう強めていく。

 

 2014年10月31日

全国労働組合総連合 
事務局長 井上 久

 
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