衆議院厚生労働委員会において与党は本日7日、野党の一致した強い反対を無視して、委員長職権で委員会を開催し、与党単独で、安倍首相出席の労働者派遣法大改悪法案の審議を強行した。議会制民主主義を踏みにじる暴挙であり、全労連は強く抗議する。
同法案については、委員会での実質審議入りを前にした10月31日、理事会に与党である公明党から「修正案」(別紙)が突如提出された。これは、与党自ら同法案が欠陥法案であることを示すものにほかならない。にもかかわらず、何ら具体的な説明もなく「修正案」は取り下げられ、11月5日の委員会も委員長職権で開催が強行された。
今回はしかも、採決の前提となる首相出席の委員会の与党単独開催である。
11月5日の審議では、塩崎厚生労働大臣の答弁に誤りがあり、その点での大臣の謝罪と審議が強く求められるなかでの強行開催であり、議会制民主主義のうえからもとうてい許されるものではない。野党が一致して強く抗議し、本日の委員会を退席したことこそ道理ある対応である。
与党・公明党がいったん提出した「修正案」は、「臨時的かつ一時的なものが原則であるとの派遣法の趣旨を考慮することを規定する」、「新法施行後の……労働市場の状況を踏まえて……新法の規定について速やかに検討を行う」としており、常用代替防止原則が事実上なくなることで派遣労働者への置き換えが急速にすすむことを危惧する内容になっている。我々は「生涯ハケン・正社員ゼロ法案だ」と厳しく批判してきたが、与党内でも同様の認識がひろがっていることを示すものにほかならない。
したがって、与党自ら欠陥法案であることを認めたに等しい同法案は、議会制民主主義の観点からもいったん取り下げる以外にあり得ない。与党は来週中にも衆院採決を強行する意向と伝えられるが、そのような暴挙は断じて許されない。
いま問われているのは、労働者派遣を一般的な働き方にして、低賃金の使い捨てが当たり前の社会にするのか、それとも、働く人々と家族の生活と人権をまもり、雇用の安定で内需を拡大し、日本経済の本物の「好循環」をつくりだすのかということである。マスコミでも、「不況を招く経済政策」などという批判が急速にひろがりつつある。
全労連は世論と共同をいっそう強め、同法案を廃案に追いこむためにあらゆる手立てを尽くし、とりくみをいっそう発展させる決意である。
2014年11月7日
全国労働組合総連合
事務局長井上久
参考:公明党修正案骨子(取り下げ)(PDF)