本日、第189回通常国会が開会された。
安倍首相は、自らの政治を「戦後以来の大改革」と称し、「当然賛否は大きく分かれ、激しい抵抗もある。しかし、今回の総選挙で、引き続きこの道をまっすぐに進んでいけと国民から力強く背中を押していただいた」(首相指名後の記者会見、12月24日)として、今国会を「改革断行国会」にすると宣言した。また、総選挙後初の本格国会にもかかわらず、施政方針演説を補正予算後に先送りした。民主主義国家の首相にあるまじき、国民世論と国会を軽視する「暴走」宣言であり、容認できない。実際、オール沖縄の声を無視し、翁長・新知事の面会要請さえ拒否して、辺野古沖への米軍新基地建設を継続し、沖縄振興予算を見せしめ的に削減するなど、強権的やり方が加速されている。
集団的自衛権の行使を可能にする安全保障法案(戦争準備法案)のいっせい地方選後の国会提出を準備していることにくわえ、安倍首相は明文改憲に強い意欲を見せている。また、戦後70年の新たな「談話」を出すとしているが、「植民地支配と侵略」や「痛切な反省」などこれまでの談話の核心部分を継承することには否定的態度を示した(1月25日のNHK討論番組)。平和憲法の重大な危機である。全労連は戦争する国づくりと米軍新基地建設に強く反対し、国民的な共同のいっそうの発展のために積極的役割を果たしていく。
ピケティー現象といわれるように、経済のグローバル化のもとでの貧困と格差の拡大が深刻な社会問題になっている。そして、世界では、富裕層への課税強化や最低賃金の引き上げなど富の再分配が健全な経済発展のうえでも重要だという認識がひろがっている。
ところが、安倍政権の来年度予算案等では、法人税率の引き下げなど大企業や富裕層への大盤振る舞いの一方で、年金や生活保護の引き下げや、医療・介護、社会保障の改悪など国民への負担増計画が並んでいる。医療保険制度をはじめ、暮らしを脅かす制度改悪の法案も目白押しである。また、口では「賃金を上げる」といいながら、生涯ハケン・正社員ゼロの労働者派遣法大改悪法案の再々提出や、いわゆる残業代ゼロ制度など労働時間規制の骨抜き法案の提出もねらわれている。これでは、格差と貧困はますます拡大し、景気は悪くなるばかりである。この点でも、全労連は実態を基礎にした告発を強め、安倍「暴走」政治をストップさせ、暮らし第一の政策転換を求める共同をいっそう強化していく。
日本経済の再生のためにも、物価上昇を上回る賃上げや国民の所得増が必要だということが、国民的な合意になってきている。とくに春闘で、すべての働く人々の大幅賃上げを実現し、実質賃金の低下に歯止めをかけ暮らしを改善することが、日本経済の回復のうえでも焦点の課題になっている。
全労連は労働組合の本来的役割として大幅賃上げのとりくみを徹底して強化していく。同時に、大企業に社会的責任を果たすよう求めるとともに、中小企業や商店街への支援策の拡充や、農業・農協つぶしを止め、地域経済の活性化のための施策を充実させるよう強く求めていく。
戦後70年、いま、憲法とは何かということが問われている。全労連は「憲法をまもりいかそう」を合言葉に、戦争する国づくりを許さず、働く人々や国民、地域社会が元気な日本をめざして、広範な国民や地域との連携をいっそう強化していく決意である。
2015年1月26日
全国労働組合総連合
事務局長 井上 久