JAL不当解雇の撤回を求めた訴訟に対して最高裁判所は、客室乗務員事件について2月4日付で、運航乗務員事件については2月5日付で上告棄却・不受理の不当な決定をおこなった。
本件は会社更生手続き下での人員整理という新たな分野の訴訟だったが、両決定とも上告から極めて短期間に出された。実質審理を放棄したに等しい対応であり、原告労働者の尊厳すら踏みにじる暴挙といわざるを得ない。
また、更生計画の実施を優先し、労働者の雇用維持を劣位において整理解雇法理を実質的に空洞化させた東京地裁・東京高裁の判決を確定させたことの労働者への悪影響ははかりしれない。
全労連は、満身の怒り込めた抗議の意思を表明する。
2014年6月の東京高裁の判決は、JALが解雇時点での余剰人員の立証をおこなっていないこと、解雇回避努力義務を尽くしていないこと、解雇者に多くの組合活動家が含まれていることなどの事実を無視、もしくは軽視して下されたものであり、整理解雇や不当労働行為の法理の解釈に重大な誤りを含む不当なものであった。
2014年8月には、東京地裁でJAL管財人の不当労働行為が断罪され、今年1月には大阪地裁がJALの整理解雇者選定の手続きの不当性を認定する判決を出した。他の事案での判決とはいえ、本件裁判での主要な争点に関わっての重要な判断であった。
さらに、国際労働機関・ILOが、大量の解雇者を放置しながら、JALが新たな労働者を雇用し続けている本事件に重大な関心を寄せ、運輸関係の国際労働組織も解雇された労働者の職場復帰を強く求めていた。
これらを踏まえれば、最高裁判所には、問題点を洗い出す慎重な審理が求められていたはずである。にもかかわらず、門前払いに等しい短期間の棄却決定はとうてい納得できない。
165名の労働者を解雇したJALではこの間、離職が後を絶たず、2,000名を超える客室乗務員を新規に採用し、定年後の乗務員を継続雇用しようとするなど、大幅な人員不足の状態にあり、安全運航への懸念が職場にひろがっている。こうした現場の実態は、最高裁の不当な決定にもかかわらず、解雇者を職場に復帰させる必要があることを示している。
全労連は、あらためてJAL・日本航空に自主交渉による解決を強く求める。政府は、ILOの要請に真摯に応じ、JALに対して解決努力を働きかけるべきである。
全労連は、原告団を先頭とするたたかいにいっそう固く連帯し、支援のとりくみを継続・強化していく。
2015年2月9日
全国労働組合総連合
事務局長 井上 久