貴職らは、2月27日付で、第33期となる中央労働委員会の委員任命をおこなったが、労働者委員については、全労連(全国労働組合総連合)、純中立労組懇(純中立労働組合懇談会)、MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)で構成する全国労働委員会対策会議が統一して推薦した独立行政法人枠の岸田重信氏(全医労委員長)は再任したが、一般民間企業担当の安部昌男氏(民放労連副委員長)は任命しなかった。1989年の日本の労働戦線の再編以降、一般の民間企業担当の労働者委員は、連合推薦の委員で独占されるという異常な事態が続いているが、今回も是正されなかった。わたしたち全国労働委員会対策会議は、今回の労働者委員の任命結果について、満身の怒りを持って抗議するとともに、次回の任命にあたっては連合独占という不公正・不公平極まりない偏向任命を是正するよう強く申し入れるものである。
2015年1月20日、北海道労働委員会の労働者委員任命取り消し訴訟において、札幌地方裁判所は、原告である道労連(北海道労働組合総連合)の請求は却下しつつも、その判決文において、「処分行政庁の裁量的判断の基礎となる事実である候補者の人格、識見の認定が十分にされなかった結果、系統別の選任割合が十分に考慮されず、処分行政庁の判断が左右されたものであって、本任命処分は、重要な事実の基礎を欠くものであり、処分行政庁に付与された裁量権を逸脱し又はこれを濫用したものであるといわなければならない」と判じた。
今回任命されなかった安部昌男氏は経歴、人格、識見などどれをとっても今回任命された連合の労働者委員に比べてひけをとるとは到底思われない。系統別の選任割合もこの間ずっと全く考慮されていない。今回の任命処分は、札幌地裁の判決の趣旨からいっても、裁量権を逸脱し又はこれを濫用したものと言わざるをえない。
労働委員会がその機能を十分に発揮し、円滑な運営をするためにも、申し立て組合と労働者委員の信頼関係は決定的であり、連合以外の組合にとって連合推薦の労働者委員ではその信頼関係を築きづらいのは厳然たる事実である。不当労働行為を救済する労働委員会で、その労働者委員の任命にあたって不当労働行為(組合間差別)が行われていいはずはない。次回第34期の委員任命にあたっては、一般の民間担当の労働者委員の連合独占という異常な事態を改善するようあらためて要請する。
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