報道のとおり、沖縄県の翁長雄志知事は3月23日に記者会見をおこない、沖縄防衛局に対して辺野古沖での新基地移設関連作業を1週間以内に停止するよう指示し、従わない場合は岩礁破砕許可そのものを取り消す意向を明らかにした。その目的は、コンクリートブロックによってサンゴ礁が損傷されていないかを調べる海底調査のためとされているとおりであり、沖縄県の対応は段階を踏んだ冷静、妥当なものだといえる。
ところが安倍政権の対応は、「日本は法治国家」「違法性が重大かつ明白で、無効なものだ」(23日の菅官房長官の記者会見)などと、沖縄県の要請を頭から否定し、辺野古沖での海底ボーリング調査を「粛々と」継続している。くわえて、沖縄防衛局は翌24日、農水大臣に対して行政不服審査請求と執行停止申立書を提出するなど、徹底抗戦の姿勢を露骨にしている。
中止指示という拘束力があいまいな段階での不服審査請求が、しかも行政機関による請求が法的に有効なのかという強い疑問も指摘されているとおり、安倍政権の対応はオール沖縄の反撃に慌てた極めて不当なものと強く批判されねばならない。
この間の国会論戦等で明らかになった事実からは、辺野古沖への米軍新基地建設は、沖縄の負担軽減では全くなく、現在の普天間基地にはない機能を多数備えた米軍海兵隊のための新たな軍港、巨大出撃基地にほかならないことが明白になっている。オール沖縄の新基地建設反対の運動の正当性はますます明らかである。
くわえて、翁長知事のこの間の対応は、海底調査から一歩一歩段階を踏んだ検証という極めて冷静なものであることを踏まえる必要がある。
全労連は、安倍政権に対して、今回の翁長知事の指示(要請)を真摯に受け止め、移設関連工事を直ちに中止し、沖縄県の求める調査に全面的に応じること、沖縄県との誠実な話し合いのテーブルにつくことを強く求める。
同時に、米軍新基地の全容を明らかにして議論を尽くすこと、昨年の四度にわたる選挙で示された沖縄の民意を受け止めて、米軍基地増強の策動を中止し、辺野古沖への新基地建設を潔く断念するよう要請する。
全労連はオール沖縄のたたかいを支持し、全国的な支援をいっそう強化していく。
2015年3月25日
全国労働組合総連合
事務局長 井上 久