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【談話】 目安小委員会の取りまとめにあたって
〜 不十分な内容に抗議し、地賃段階での上積みを強く求めていく 〜

1.中央最低賃金審議会目安小委員会は7月29日早朝、2015年度の地域別最低賃金額の改定目安をAランク19円、Bランク18円、C・Dランク16円とする内容をとりまとめた。
 Aランクは昨年と同額、B・C・Dランクは時給表示に統一されて以降で最高の上積み額となるが、仮に目安通りに改定されたとしても、加重平均は18円増の798円に過ぎず、不十分な額といわざるを得ない。厚労省は「生活保護との逆転は解消した」と宣伝するが、まやかしの計算方法による言い逃れであり、この額ではフルタイム働いても生活保護基準以下の収入にしかならない。
 雇用戦略対話の政労使合意で、速やかに到達すべき額とされた800円をクリアした地方は、3府県増えて7都府県となったが、700円台24道県、600円台も16県残っており、目標達成には遠い道のりである。
 厚労省は、「格差の広がり幅を圧縮した」として、最低額は693円、最高額は907円であり、その格差は、昨年までの211円から214円に、3円ひろがる。地域疲弊の元凶ともなっている地域間格差のさらなる拡大はとうてい容認できない。

2.安倍内閣は今年の目安審議にあたって、「経済財政運営と改革の基本方針2015」および「日本再興戦略」で特段の配慮を求めた。
 しかし、労働者側委員が消費者物価上昇分と15春闘の賃上げ成果を合わせた「50円の引き上げ」を要請した翌日、内閣府は「最低賃金を10円、20円引き上げた場合の経済効果」とする資料を発表し、労働者側の要求額に応えない姿勢を示した。それに勢いを得た使用者側委員は、昨年並みの改定すら拒否し、小規模企業の「賃金改定率0.9%」を目安の根拠にすべきとし、さらに中国やギリシャの経済不安まで持ち出して、昨年を上回る目安はあり得ないと主張した。
 この経過からも、安倍政権の姿勢が厳しく問われなければならない。下請中小企業に低単価を押しつけ、大企業が史上空前の利益をあげている状況だからこそ、大企業のさらなる蓄財に手を貸すのではなく、中小企業支援を強めながら最低賃金を大きく引き上げ、国民の消費購買力を高めることで経済の好循環を実現すべきだったと、強く指摘しておく。

3.目安答申を受けて、各都道府県の最低賃金審議会の調査審議がスタートする。各地方の審議会には、大企業の利益を増大させるために地域の低賃金構造の温存をもくろむ財界・多国籍企業の要求をはねのけ、中賃目安を大きく乗り越える改定を実行するよう求める。
 とりわけ、格差是正のためにC・Dランク県での大幅な引き上げを強く要請する。そして、目安段階で798円となった加重平均を、地方最低賃金審議会の審議を通して800円台に乗せていくことを求めていく。
 全労連は、最低賃金1000円以上・全国一律最賃制度の実現を展望し、金額改定の最終場面まで旺盛な運動にとりくむよう、全国の仲間に呼びかけ、多くの未組織労働者と共同して奮闘する決意である。

 2015年7月29日

全国労働組合総連合
事務局長 井上 久

 
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