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【談話】 医療法改悪法案の衆院委員会可決に抗議する

 衆院厚生労働委員会は昨日5日、公的医療機関をはじめ地域の医療機関(病院・診療所)や介護施設等をひろく傘下に収め、一体的な運営(経営)をおこなう「地域医療連携推進法人」制度の創設を内容とする「医療法改悪法案」をわずか1日の審議で可決したが、その影響の大きさからしてもとうてい容認できない。強く抗議するとともに、参院段階では徹底審議のうえで廃案にするよう求める。

 政府は「医療機関相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するため」と説明するが、その実態は「都道府県知事の認定は、地域医療構想との整合性に配慮する」とされているように、政府がすすめる医療・介護の「一体改革」に沿って、病床の削減や介護施設の抑制、医師・看護師など医療従事者の異動を強制し、医療機関と介護施設の再編・縮小を推進するものにほかならない。現在でも深刻な医療・介護地獄をいっそう悪化させるものであり、許されるものではない。

 新法人は、事前の論議の過程では「非営利ホールディング型カンパニー制度」(仮称)などと呼ばれ、法案にも一応「剰余金の配当禁止」等が盛られている。しかし、実際には、新法人の理事長は医師以外でもよく、株式会社への出資も可能とされている。また、病床数で議決権に差をつけることもできるようになっており、大規模法人によって実効支配される危険性を持っている。これらは医療の「営利化」に道を開くものにほかならず、断じて容認できない。

 以上のとおり、この法案の影響は甚大であり、わずか1日の審議で採決したことは、立法府としての役割放棄に等しいものであり、厳しく批判されねばならない。
 超高齢社会をむかえ、医療・介護の役割と期待がますます高まるなかで、いま求められているのは、国の責任によって、すべての国民に安全・安心の医療・介護、社会保障を提供すること、そのために医療・介護労働者の処遇を改善し、深刻化している人手不足を解消することである。国の予算削減ありきの提供体制縮小では断じてない。

 全労連は、最初に述べたとおり、「参院段階では徹底審議のうえで廃案にする」ことを実現するため、患者・利用者と家族をはじめ、関係諸団体と連携したとりくみを、地域段階からいっそう強化していく決意である。

 2015年8月6日

全国労働組合総連合
事務局長 井上 久

 
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