衆議院は本日、刑事訴訟法改悪法案等を自民、公明と民主、維新などの賛成多数で可決し、参議院に送付した。同法案については当初、民主、維新も問題点を指摘し、慎重審議を求めていたが、与党と共同で「修正案」を提出したことから急転直下、5日の法務委員会で可決され、本日の本会議で可決、参議院送付となった。
しかしながら、「修正案」の内容は、運用の微修正に止まるものであり、全労連や多くの団体が指摘してきた問題点を何ら修正するものではなく、容認できない。強く抗議し、参院段階での徹底審議を求める。
問題の第一は、通信の秘密やプライバシーなど国民の権利を大きく侵害する「盗聴の拡大」である。改悪法案によって、盗聴の対象が拡大されるだけでなく、NTTの立ち合いもない、警察施設における警察だけの盗聴も認められることになる。
第二は、冤罪の新たな温床になることが強く懸念される「司法取引制度の導入」が盛られていることである。
一方で、冤罪をなくすという今次改正の本来の趣旨から強く期待されていた「取調べの可視化」については、取り調べの録音・録画の対象が限定されたことにくわえ、例外も認められる仕組みとなり、警察官の裁量で都合のよいところだけ録画されることになる。これでは、冤罪の防止など期待できない。
以上から明らかなとおり、改悪法案は、通信の秘密やプライバシー権を侵害し、また、令状主義に反するのであって、憲法違反が強く疑われる。また、冤罪の防止どころか、冤罪をかえって助長しかねない。
全労連は、冤罪被害者をはじめ、冤罪をなくし、知る権利の保障を求める諸団体との共同を強めながら、とりくみをいっそう強化していく。
2015年8月7日
全国労働組合総連合
事務局長 井上 久