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【談話】仕事と家庭の両立支援研究会の報告書にあたって
育児介護休業法の実効ある改正、仕事と生活の両立支援基盤の拡充を求める

 厚労省の「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」は8月7日、報告書を取りまとめた。
 同研究会は、2009年改正の育児介護休業法の附則にもとづき、法改正に向けて議論をすすめてきたが、いくつかの前進面を持ちつつ、実際の効果としては不十分な内容に止まったといわざるを得ない。今後の具体化、労働政策審議会の審議において、いっそう踏み込んだ検討を求めたい。

 報告書では、介護休業の分割取得を認めるべきとし、介護休業の対象家族の範囲をひろげることも検討すべきなどと、介護休業を取得しやすい環境整備を求め、所定外労働時間の制限や介護休日の延長についても意見があったと明記した。育児休業では、有期雇用契約の場合の休業取得について改正の論点を明確に示し得ていないが、子の看護休暇の時間単位の取得や所定労働時間の短縮、所定外労働を制限する子の対象年齢の引き上げなどが言及されている。

 今日なお、多くの労働者が仕事と生活の両立にさまざまな困難を抱え、はたらく女性の6割近くが妊娠・出産を機に離職を余儀なくされ、マタニティーハラスメントも横行している。また、はたらく女性の6割が非正規雇用であり、女子学生では高卒初職時に非正規雇用を余儀なくされる割合が半数に及んでいる。男性労働者は、子育て世代である30歳代の5人に1人が週60時間を超える労働を強いられ、家族的責任を果たすことが困難な状況に置かれている。家族の介護・看護のために離転職する労働者は、この5年間で40万人以上に達している。
 このように、「男女ともに仕事と生活の場における平等の実現」「両立支援の基盤整備拡充」は、21世紀のわが国を左右する重要な課題であり、家族的責任を果たすために離職を余儀なくされる事態は早急に克服されねばならない。

 よって、今回の報告書で指摘された諸問題をさらに深めて議論し、実効ある措置が具体化される必要がある。
 休業保障は、労働者の就労保障とともに、子どもの健やかな成長を保障するものでなければならず、家族のみの責任に委ねるのではなく、社会的責任において果たされるべきである。また、介護においては、介護休業と介護保険サービスの利用を結びつけた論点が示されているが、介護サービスの切り下げが行われているなか、現状のニーズを踏まえた実効ある制度の再構築が求められる。
 育児介護休業法の改正にあたっては、休業中の所得保障、対象となる子の年齢の見直し、非正規労働者への適用の拡充、介護休業・休暇の充実、不利益取り扱いを根絶する実効性の確保など、制度の拡充が不可欠であり、国と企業の責任が問われている。

 全労連は、すべての労働者が仕事と生活を両立させながら、人間らしく働くために、育児介護休業法の拡充、実効ある改正を求めて運動をいっそう強めていく決意である。

 2015年8月11日

全国労働組合総連合
事務局長 井上 久

 
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