本日、参院厚生労働委員会は、労働者派遣法大改悪法案の採決を強行した。派遣労働者の多くも反対する雇用破壊の大改悪であり、全労連は強く抗議する。
第一に指摘すべきは、参院段階の審議を通じて、同法案が直接雇用の大原則を侵し、低賃金・使い捨ての労働者派遣を一般的な働き方に変え、派遣労働者を急増させる雇用破壊法案だということがいっそう鮮明になったことである。
生涯ハケン・正社員ゼロの大改悪にほかならず、これでは、雇用はますます不安定化し、働く人々の賃金水準はいっそう下がってしまう。暮らし破壊、内需縮小による経済破壊の大改悪として厳しく批判されねばならない。
第二に指摘すべきは、運動のなかで実現した「労働契約申込みみなし制度」の10月1日発動を阻止し、違法企業を免罪しようという与党の黒いねらいもまた鮮明になったことである。
与党は採決直前に施行日を9月1日から9月30日に修正したが、それでも施行日まで残された期間はわずかしかなく、異常といわざるを得ない。
これでは、派遣労働者の急増が強く危惧されるだけでなく、違法のやり得として、法の支配の大原則すら揺るがしかねない。
同時に指摘すべきは、派遣労働者自らが反対に立ちあがり、労働組合や雇用の安定を願う広範な世論が与党を追い詰めてきた結果が、会期末が目前に迫るなかでの委員会採決強行という事態となったことである。
与党は、採決直前に施行日を9月30日に修正しただけでなく、労働組合や野党各党が厳しく批判してきた点について、形ばかりだが三点の修正をおこない、質疑なしで採決を強行した。事実上、与党自ら法案の欠陥を認めるものである。この点でも運動が追い詰めてきたことを確認すると同時に、形ばかりの修正ではとうてい許されず、廃案しかないことを明らかにするものだということを強く指摘しておく。
委員会での採決は強行されたが、まだ本会議が残っている。法案修正の結果、再度、衆院に回付する必要もある。会期末が目前に迫るなか、この間の運動を確信に、戦争法案の国民的なたたかいと結んで、雇用破壊の労働者派遣法大改悪法案を廃案に追いこむために全力を尽くすことが求められている。全労連は断固たたかいをひろげる決意である。
2015年9月8日
全国労働組合総連合
事務局長 井上 久