安倍首相は昨日7日、内閣改造をおこない、第三次安倍改造内閣が発足した。
その最大の特徴は、主要閣僚の多くが留任し、党役員人事でも四役等が留任となったことである。その点からも、戦争法(安保法制)をはじめてとした「暴走」政治を継続・推進する体制だということは明白であり、認めることはできない。全労連は早期退陣を求めてたたかいをさらに強化していく決意である。
とくに、先の国会で大問題となり、安保闘争以来といわれるような反対の運動と共同がひろがった戦争法について、国民多数の無視し、憲法違反が明白な戦争法の具体化を推しすすめようという体制であることは、とうてい認めることはできない。また、安倍首相が記者会見で、「時代が求める憲法の姿、国の形についても国民的な議論を深めていきたい」と、明文改憲の執念を示したことは重大である。
全労連は、立憲主義・民主主義という国の根幹を侵して、自衛隊を米軍の完全な補完部隊とし、日本を平和国家から戦争国家・外征国家につくり変える戦争法の廃止を実現するために全力をあげる。「戦争法廃止・安倍政権NO!」をスローガンに、世論と共同の輪をさらに大きくひろげていくために力を尽くす。
安倍首相はまた、「1億総活躍社会」の実現を掲げ、腹心を担当大臣に任命した。しかし、「新三本の矢」などの内容は何ら具体的でなく、GDP600兆円をはじめ実現の展望のない言葉の羅列となっている。その意図するところは、戦争法反対で高まる世論から「経済」に国民の眼を逸らすと同時に、アベノミクスの破綻が明白になりつつあるなかで目先をかえて、労働者・国民、地域社会を犠牲にした新自由主義「構造改革」を推進しようというものにほかならない。
実際にやろうとしているのは、「1億総活躍」という言葉が示すように、少子高齢化と労働力不足の深刻化のもとで、骨太方針2015で示された社会保障のいっそう抑制・改悪であり、また、女性の活躍とか生涯現役というゴマカシで、若者や女性、高齢者を安上がりの不安定雇用で駆り出そうというものである。TPP「大筋合意」を受けた改悪とあわせて、安倍政権による労働者・国民、地域社会犠牲の政策遂行を許すわけにはいかない。
全労連は、地域を基礎に、暮らしをまもる共同を大きくひろげ、賃金の底上げと雇用の安定、社会保障拡充に政策転換をせまり、もって内需拡大による地域経済の健全な再生を実現するためにとりくみをいっそう強化していく。
2015年10月8日
全国労働組合総連合
事務局長 井上 久