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2016年3月16日
全国労働組合総連合女性部

女性差別撤廃委員会(CEDAW)による日本政府報告への総括所見の完全実施を求めます

 国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は、3月7日、女性差別撤廃条約の日本の実施状況に関する審査の結果をまとめた総括所見を発表しました。今回の総括所見は、第7次・第8次日本政府定期報告に対して出されたものです。日本政府が、「女性の活躍推進法」や「子ども・子育て支援法」などの制定をもって「男女共同参画がすすんでいる」と事実を直視しない報告を繰り返すなかで、CEDAWは日本の女性の実情をしっかりと理解して、日本政府への厳しい総括所見をまとめました。この背景として、全労連女性部をはじめ婦団連、さらにはJNNC(婦団連や国際女性の地位委員会など80余のNGOで構成)に結集する様々な女性団体のレポートと、審査前日・当日における傍聴団のCEDAW委員への真剣な働きかけが委員の理解をすすめるうえで大きな力を発揮したことを確信とするものです。

 総括所見は、まず、日本政府に対し、女性差別撤廃条約と前回の勧告が実施されていないことに懸念を表明しました。とりわけ8つの項目については「前回の勧告(これまでの勧告)を繰り返し、以下のことを強く要請する」という強い言葉で、締約国の責任を問うています。それは、(1)国内法に包括的な女性に対する差別の定義をただちに取り入れること、(2)民法改正、(3)独立した国内人権機関の設置、(4)暫定的特別措置の採用、(5)男女の伝統的役割分担を強化する社会的規範や教科書の変更、(6)女性に対する暴力の防止、(7)「慰安婦」問題の被害者本位の解決、(8)政治への女性の進出、の8項目です。
 とりわけ、民法改正については、前回も「ただちに是正すべき」と勧告されたにもかかわらず、夫婦同姓の強制・結婚最低年齢の男女差・女性のみに適用される再婚禁止期間などの差別的規定が改正されていないことに対して、「一刻も早く行うよう強く要請する」としています。
 また、日本軍「慰安婦」問題について、「指導者や公職者が責任を薄めるような発言を止める」こと、「被害者の救済の権利にもとづいた損害賠償・公式謝罪・リハビリテーションを含む十全で効果的な救済と回復措置」を求めています。さらに、「教科書に『慰安婦』問題を十分に取り入れ」、歴史の事実が客観的に提供されることを強く要請しています。「条約批准以前の事件なので、CEDAWでの審査はなじまない」と主張する日本政府に対して、CEDAWは、「時間的管轄権による妨げはない」として、戦争による人権侵害に時効はないという立場をきっぱりと示しました。

 また、上記8項目に加えて「雇用」と「周知普及」の項目については、「勧告」にとどまらず「強く要請する」とされました。「雇用」の分野では、(1)賃金のジェンダー格差や女性雇用の低賃金分野への集中を是正するために同一価値労働同一賃金原則実施、(2)家族的責任により女性がパートタイム労働に偏ることに対して、両親休暇の導入や十分な保育施設の提供、(3)セクハラの禁止と制裁の法制化、(4)マタハラも含めて雇用差別があった場合の女性の司法へのアクセス、(5)労働監督の強化、(6)ILO第111号条約(差別禁止)やILO第189号条約(家事労働)の批准の検討などを、日本政府に「強く要請」しています。

  締約国には、「条約の実施」「総括所見と勧告の履行」とともに「周知普及」が義務付けられています。全労連女性部は、今回の総括所見を受け、あらためて日本政府に対して、条約と勧告の完全実施と普及を直ちにおこなうよう強く求めます。そうしてこそ、女性の未来はひらかれます。女性差別撤廃条約が守りいかされる社会の実現をめざして、この条約を力にして運動をさらに広げましょう。

以上

 
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