政府・与党は本日、野党四党提出の山本有二農林水産大臣の不信任決議案を否決したうえで、衆院本会議でTPP(環太平洋連携協定)承認案・関連法案の採決をまたもや強行した。
全労連は強い憤りを持って、この暴挙に強く抗議する。
TPP承認案等については、衆院特別委員会での11月4日の強行採決に際して出した談話においても強調したが、はじめから「強行採決ありき」の異常な状況下の審議だったが、本日の本会議採決も職権開催の強行採決となった。また、山本大臣の相次ぐ暴言・失言に対する四野党の辞任要求についても何ら回答はなく、不信任決議案を否決したうえでの強行採決となった。議会制民主主義の観点からも、とうてい認められるものではない。
ただし、極めて不十分な審議のなかでも、TPP協定が国民生活のあらゆる分野に重大な影響を及ぼし、わが国の経済主権をグローバル大企業の儲けの前に差し出すという、その危険性がますます明らかになった。安倍政権と与党が採決を急いだのは、こうしたTPP協定の危険性が国民にひろく知れ渡る前に採決したかったからであり、許されるはずはない。
しかも、昨日投開票されたアメリカ大統領選挙でTPP協定からの撤退を公約に掲げたトランプ氏が当選した翌日の強行採決である。マスコミや識者からも、TPP協定発効は難しいとの観測が流れるもとで、採決を急ぐ必要は全くなく、異常なTPP固執といわねばならない。
安倍政権がここまで固執するのは、アベノミクスの誤り、日本経済の停滞が鮮明になるなかで、「活路は海外」という成長戦略の「エンジンを最大限にふかし」たいからだろう。
しかし、それでは日本経済は決してよくならず、格差と貧困がますます深刻化することになることは明らかである。いま必要なことは、TPPではなく、賃金の底上げや雇用の安定、中小企業支援の強化、地場産業の振興など、人々の懐を暖め、地域の活性化を図ることである。そうしてこそ、人々の暮らしが改善され、内需拡大による日本経済の持続的な回復も実現される。
全労連は、あらためて大臣・国会議員としての資質が問われる山本大臣の辞任を強く求めるとともに、参院段階では徹底審議のうえでTPP承認案等を否決・廃案に追い込むために、諸団体との共同をいっそう強め、地域を基礎に運動をより強化していく決意である。この国の経済のあり方、人々の暮らしの根幹にかかわる課題であり、全力でたたかう。
2016年11月10日
全国労働組合総連合
事務局長 井上 久