カジノ解禁法案(特定複合観光施設(IR)地域整備推進法案)が昨日、衆院内閣委員会で審議入りした。刑法が禁じる賭博場・カジノを一定の要件のもとに合法化する法案など断じて容認できない。各種世論調査でも、国民の多数が反対している。全労連は審議入りそのものに厳しく抗議し、法案を直ちに撤回・廃案とするよう強く求める。
自民や維新などの推進派は経済効果(への期待)を盛んに強調しているが、アトランティックシティーをはじめ、アメリカやマカオ、韓国などの先行例では、大規模施設の倒産が相次ぎ、地域経済の衰退につながるなど、その破綻はすでに明らかである。
また、ギャンブル依存症の深刻な拡大や生活破綻をはじめ、賭博場周辺では、犯罪の増加や反社会的勢力の台頭、教育や子どもたちへの悪影響、風俗環境の悪化など、さまざまな弊害が発生している。百害あって一利なしとは、正にこのことである。
なにより、どんなにいい繕おうと、カジノは刑法が禁じる賭博場にほかならない。それを経済(儲け)のために解禁するなど許されるはずもない。儲けのためには何だってありという倫理観の欠如を厳しく指摘せねばならない。
今回の法案は議員立法だが、安倍政権も積極推進の姿勢であり、その後ろ盾のもとでの強引な審議入りである。「世界で一番企業が活動しやすい国」を掲げるアベノミクスの正体を象徴する法案として、強く批判されねばならない。
しかも、延長国会に入ってからの、自民などによる強引な審議入りであるにも関わらず、すでに、自民などの推進勢力は今国会での成立への意欲を公言し、場合によっては明日2日の衆院委員会強行採決もありうる緊迫した情勢となっている。
しかし、カジノの解禁にくわえ、子どもを含む国民生活に重大な影響を持つ法案であり、拙速な審議などとうてい認められない。議会制民主主義の観点からも廃案しかない。
全労連は、カジノ解禁法案に不安や怒りを抱くすべての団体、人々と共同して、今国会での成立を阻止し、廃案に追い込むために全力をあげる決意である。
2016年12月1日
全国労働組合総連合
事務局長 井上 久