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【談話】TPP承認案・関連法案の成立強行に強く抗議する

 本日、TPP承認案と関連法案は、多くの国民の反対の声を無視して参議院での採決が強行され、自民・公明・維新などの賛成多数で成立した。全労連は、この暴挙に強く抗議する。

 参議院段階のTPP承認案等の審議は、アメリカ大統領選挙でTPP反対を公約するトランプ氏が当選し、1月の大統領就任のその日にTPP離脱を通知すると明言するなかでの審議となった。TPP発効がほぼ不可能となったにも関わらず、安倍政権と与党が、会期を延長して、拙速に成立を急いだことは、議会制民主主義と国民を愚弄するものとして厳しく批判されねばならない。

 安倍政権は、「自由貿易をまもる国会の意思を示す」意義を強弁しているが、その論には何の道理もない。審議が継続されるにしたがって、国民世論は今国会での成立反対に大きく動いてきたのであり、それを無視することは、数のおごり以外のなにものでもない。また、TPPがあまりにグローバル大企業の利益一辺倒で、国民の暮らしや地域経済をないがしろにするものであることから、日本ばかりでなく各国で反対世論が強まっているのだ。

 参議院段階では、衆議院より審議時間は伸びたが、TPPの膨大な協定内容からすれば、極めて不十分な審議だったといわざるを得ない。その短い審議のなかでも、TPPが国会決議に反して主要5品目等の関税や安全のための規制も守れず、農業や食の安全、医療、金融、労働などさまざまな分野で、国民の暮らしと地域経済を脅かすとともに、ISDS条項の存在など経済主権・国民主権をグローバル大企業の利益に差し出すものであることが明白になった。百害あって一利なしと言わねばならない。

 さらに、日本が率先してTPP承認案等を成立させたことの危険性が指摘される。つまり、トランプ次期政権にTPPに復帰を求めようとすればいっそうの譲歩を迫られるということであり、また、TPPが発効しない場合も、2国間・多国間の交渉でもTPPで合意した内容が最低基準として譲歩を迫られるということだ。TPP発効を阻止するために国際的な連帯をいっそう強めるとともに、TPPが描いた関税や非関税障壁の原則撤廃を前提とした施策の具体化を許さず、国民生活と地域経済をまもる共同を強化することが極めて重要になる。

 グローバリズムの新自由主義改革が乱暴にすすめられるもとで、格差と貧困がいっそう深刻化し、世界の多くの国で矛盾や怒りが噴出し、変化を求める胎動が起きている。TPP協定が前提とする関税や非関税障壁の撤廃下では、人件費削減をはじめとしたコストカット競争がいっそう激化するからだ。日本も変わらなければならない。全労連はグローバル大企業とマネーの横暴を助長するアベノミクスの転換を強く求め、賃金の底上げや中小企業支援の強化、地場産業・農林漁業の振興、社会保障・教育と公務公共サービスの拡充など、持続可能な地域循環型の経済・社会の実現をめざして、地域から暮らしと経済、雇用をまもる世論と共同を大きくひろげていく決意である。

 2016年12月9日

全国労働組合総連合
事務局長 井上 久

 
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