参議院厚生労働員会は本日、多くの人々の反対や不安の声を無視して、年金カット法案(年金制度改革関連法案)を強行採決したが、残された会期は1日である。全労連はこの暴挙に強く抗議し、最後の最後まで廃案を求めてたたかいぬく決意である。
国民の暮らしと地域経済に多大な影響を与える法案にもかかわらず、安倍自民党と与党が極めて短時間の審議で強行採決を繰り返したことは断じて許されない。
同時に、不十分な審議のなかでも、安倍政権の「将来年金確保法案」という説明は真っ赤な嘘であり、マクロ経済スライドの全面発動で、たとえ物価が上がっても賃金が下がれば年金も引き下げになることや、物価と賃金の両方が下がってマクロ経済スライドを発動できない場合のキャリーオーバーも無制限に持ち越しになり、結局は引き下げが強行されること、こうした年金抑制策が経済再生の場合でも2043年度まで、低成長の場合には2072年まで続くことなど、老後の暮らしを支える年金を長期にわたって引き下げ続ける「年金カット法案」にほかならないことが明白になった。
現に年金を受給する高齢者の暮らしをますます苦しくするに止まらず、引き下げが内需を縮小させることや現役世代が将来不安から消費を抑制することなど、地域経済にも重大な影響を与えることも明らかにされた。とうてい容認できるものではない。
安倍政権が、TPPやカジノ解禁推進法案と一体で、これほどまでに年金カット法案の成立を急いでいるのは、アベノミクスと日本経済の実態が深刻であり、だからこそ、なおいっそうグローバル大企業の利益一辺倒の「成長戦略」に前のめりになっているからである。しかし、それでは、格差と貧困がさらに深刻化し、内需は細るばかりであり、日本経済がよくなることは決してない。
全労連は、最後まで年金カット法案の廃案を求めてたたかうとともに、人々の暮らしと雇用、経済を守るために、アベノミクスの新自由主義改革そのものの転換を求めて、持続可能な地域循環型の経済・社会をめざすより大きな世論と共同をつくりあげるために、地域を基礎に引き続きとりくみを強めていく。
2016年12月13日
全国労働組合総連合
事務局長 井上 久