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【談話】憲法違反の教育勅語を容認・肯定する答弁書の撤回を求める

2017年4月18日
全国労働組合総連合
事務局次長  橋口紀塩

 安倍内閣は、3月31日、民進党の初鹿明博議員の質問主意書への答弁書において、「学校において、教育に関する勅語をわが国の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切であると考えているが、憲法や教育基本法等に反しないような形で教育に関する勅語を教材としてもちいることまでは否定されることではない」との考えを示し、それを閣議決定した。すでに、安倍内閣は、3月7日、民進党の逢坂議員の質問主意書に対する答弁書において、教育勅語を教育に活用することは、「個別具体的な状況に即して判断されるべきもの」として、その活用を否定しなかったが、それをさらに追認したものである。
 同時に、3月31日の答弁書では、稲田朋美防衛大臣が、3月8日、参議院予算委員会で「日本は道義国家を目指すべきだという教育勅語の精神は取り戻すべきだ」と発言したことに対して、「政治家個人の見解」だとしながら、安倍首相の「今後ともしっかりと職責を全うしてもらいたい」という言葉をひいて、罷免の意思がないことを示した。
 この間、安倍内閣の閣僚による教育勅語を肯定・賛美する発言が繰り返され、そのなかで教育勅語の教材使用を容認する閣議決定がなされたことは、立憲主義の観点から到底許されるものではない。

 そもそも、教育勅語とは、大日本帝国憲法下の1890年、君主であった明治天皇が、「臣民」であった国民に対して、守るべき徳目を説いた言葉として、「発布」されたものである。主語は天皇であり、12の徳目の最後に、その根幹である「一旦緩急あれば、義勇公に奉じ、もって天壌無窮の皇運を扶翼すべし」と、天皇のために命をかけて戦うことを美徳として求めたものである。このように、国民を戦争に駆り立てる精神的支柱であった教育勅語は、基本的人権の尊重、平和主義、国民主権を原理とした日本国憲法に全面的に違反するものである。
 それゆえ、戦後、軍国主義につながる制度が廃止される中で、1948年6月19日、衆議院は「教育勅語の排除に関する決議」、参議院は「教育勅語の失効確認に関する決議」を行った。国権の最高機関である国会が両院で排除・失効決議を行い、憲法98条を根拠にして、政府に「謄本の回収、排除の措置」まで求めたのである。一内閣が、一片の閣議決定により、両院の決議を覆すことなどできるはずがない。政府は、両院の決議を厳粛に受け止め、率先してその責務を果たさなければならない。

 にもかかわらず、3月7日、そして3月31日の閣議決定が、教育勅語の教材使用を否定しなかったことは、断じて認められない。森友学園系列の幼稚園では、教育勅語を教材として繰り返し暗唱させていたが、閣議決定は、そのような異常な教育を追認するものとなっているからである。
 また、憲法の立場とは相容れない稲田防衛大臣の発言は、断じて認められない。任命責任をおう安倍首相自身が、「大変すばらしい理念が書いてある」(2006年)と教育勅語を評価し、森友学園の教育についても、「すばらしい教育だ」と礼賛してきたことの責任は重大である。
 全労連は、教育勅語に関する違憲違法な閣議決定の撤回と、稲田防衛大臣の辞任を強く求める。安倍政権による戦前回帰の動き、「戦争する国」の人づくりに教育勅語を利用しようとする動き、それと一体の憲法改悪策動を許さない。あらためて、日本国憲法を守り、生かされる社会実現にむけて、奮闘する決意を表明する。

以上

 
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