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【談話】「共謀罪」創設法案の衆議院採決強行に強く抗議する

全国労働組合総連合
事務局次長 橋口紀塩

 本日、5月23日、衆議院本会議において、「共謀罪」創設法案の採決が強行された。5月19日の衆議院法務委員会での強行採決にひきつづく暴挙に対して、全労連は満身の怒りを込めて強く抗議する。
 衆議院法務委員会では、わずか30時間の「共謀罪」審議の中でも、多くの問題点が明らかになった。
 第一に、「テロ対策のために必要」とする政府の主張は根底から崩れた。TOC条約の批准のために共謀罪法案の成立は必要ではなく、そもそもTOC条約の目的が「テロ対策」でないことも明らかにされた。テロ対策に必要な国際条約13本はすでに批准しているところであり、政府はいまだに「共謀罪」の立法理由を示せていない。
 第二に、この法案は「一般人」を対象とするものであるという問題点が明らかになった。「一般人」かどうか、「組織的犯罪集団」に該当するかどうかの判断は捜査機関がおこなうこと、「準備行為」という要件も定義があいまいであることなど、重要な問題点が明らかになった。
 第三に、277もの犯罪を対象とすることの理由を、政府は明確に示せないままである。これほど多くの犯罪について、「共謀」の段階から処罰できるとする「共謀罪」法案は、既遂処罰を基本としてきた日本の刑法の原則を覆すものである。また、内心の自由を奪うという重要な憲法違反をおかすものである。
 このように問題山積の法案の審議を一方的に打ち切り、採決を強行したことは断じて認められない。

 国民の反対世論や疑念の声は、日に日に高まっている。政府は、国民の声に答えるべきである。さらに、国連の人権理事会が任命する特別報告者から送られた書簡に示された「懸念」事項に何ら回答することなく、採決を強行したことについても断じて認められない。

 今も、労働組合や市民運動に関わる者の情報収集や監視・盗聴などの違法な人権侵害が警察によって行われている。「共謀罪」が創設されれば、今以上に、「一般人」の行動や会話、メールやLINE(ライン)を日頃から監視・盗聴される可能性が高まることは明白である。監視や密告がすすみ、自由にモノを言えない社会がつくられる。まさに、「共謀罪」は、戦前の治安維持法の現代版と言える内容である。
 また、労働組合の当たり前の運動が、「組織的威力業務妨害罪」の「準備罪」などとされ、捜査の対象とされることになれば、労働組合の存在そのものが危うくされ、労働基本権の土台が崩されてしまう。
 このような「共謀罪」創設法案を到底認めることはできない。

 衆議院では、審議がつくされないまま、採決が強行された。「良識の府」「再考の府」としての参議院において、このようなことは絶対に繰り返されてはならない。全労連は、参議院で徹底審議のうえ廃案にすることを求め、さらに運動を広げる決意である。

以上

 
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