本日午前7時46分、参議院本会議において自民、公明、維新のルール無視の強引な国会運営によって、「共謀罪」の採決が強行された。国会内の数を力に、法務委員会での採決も行わずに本会議採決を行うという前代未聞の暴挙で、違憲の法律が強引に成立させられたことに、満身の怒りを込めて、強く抗議する。同時に、そのようなファッショ的な国会運営で民主主義が壊され続けていることへの危機を訴える。
「共謀罪」は、277もの犯罪について、相談、計画して準備の行動を起こした段階で罪に問われるものであり、市民が広く監視の対象とされるなど、稀代の悪法である。
国連の人権専門家が日本政府に対し警察権力による個人のプライシー侵害への懸念を指摘し、日本弁護士連合会などの基本的人権の擁護を掲げる団体はもとより、法案審議が進むにしたがって、日本ペンクラブなど表現活動に携わる団体や、戦前の治安維持法で弾圧された宗教者団体など、多くの団体、個人が反対の声をあげていた。世論調査でも、今国会での成立に7割が反対するという状況にあった。
にもかかわらず、まともに法案説明ができない法務大臣の答弁が審議に混乱をもたらすとともに、すり替え、「印象操作」との答弁を繰り返す首相などの対応で、国会が果たすべき、意味のある議論すら成立しないままに強引に採決した。この一連の国会審議で明らかになったことは、国会が言論の府としての機能を失いつつあるという、まさに議会制民主主義の危機である。
そのような国会状況は、衆参両院で過半数を確保し、「安倍一強」と言われる権力の集中状況にある安倍政権が、国政の私物化を強めていることと無関係ではない。
国有地の法外なディスカウントへの関与が疑われる森友事件、獣医学部新設をめぐる「ご意向」が指摘される加計学園事件の両疑惑事件で露呈している首相とその家族による国政の私物化と、それを黙認し忖度する政治家、官僚の存在が、政治や行政を捻じ曲げ、民主主義と真逆の方向に進み続けている。そのような政治は、法治国家の原則とは相いれず、人類が築き上げてきた現代国家とはかけ離れ、国民を無視し、国民に犠牲を強いる国家であると言わざるをえない。
特定秘密保護法、戦争法(安全保障法制)などに続く「共謀罪」の強行は、民主主義の危機が限界点にきていることを明らかにした。
立憲主義、民主主義を市民の手に取り戻すための行動に、今すぐ立ち上がらなければならない。進んできた市民と立憲野党の共同をさらに前進・発展させ、安倍政治を変える国民運動をつくりだすことの必要性がここにある。
全労連は、その決意のもと、安倍政権打倒の市民的運動の一翼を担う行動に多くの労働者が立ち上がるよう強く訴えるものである。
2017年6月15日
全国労働組合総連合
事務局次長 橋口 紀塩