2017年7月10日
全国労働組合総連合
事務局次長 橋口紀塩
7月7日、「核兵器禁止条約の国連交渉会議」は、122か国の賛成で核兵器禁止条約を採択した。広島・長崎への原爆投下から72年、いま、歴史は大きく音を立てて動き、「核兵器のない世界」への扉がついに開かれた。人類史上、最も残虐で非人道的な兵器である核兵器が、化学兵器や生物兵器などと同様に「違法化」されたのだ。これは、核兵器廃絶への重要な一歩となる。全労連は、行動綱領に「核戦争阻止、核兵器廃絶」を目標として掲げ、運動を続けてきた。被爆国の労働組合として、今回の核兵器禁止条約の採択を心から歓迎する。
昨年の第71回国連総会は、113か国の賛成で「核兵器廃絶につながる、核兵器を禁止する法的拘束力のある協定について交渉する」会議の開催を決めた。今年3月27日からの第一会期に続いて、6月15日から第2会期の交渉会議が開かれ、7月7日に条約が採択された。全労連は、真剣で熱心な討論をすすめた各国政府と市民社会の努力に敬意を表する。一方、唯一の戦争被爆国でありながら、日本政府がこの会議に参加しなかったことに遺憾の意を示すとともに、満身の怒りをもって抗議するものである。
核兵器禁止条約は、その前文で、ヒバクシャと核実験被害者の「苦難と受け入れがたい被害に留意」し、「ヒバクシャが行っている努力を認識し」、「協定した」と述べている。核兵器の非人道性を告発してきた長年の被爆者の運動と、「被爆者が生きているうちに核兵器の廃絶を」と求めてきた日本と世界の平和運動への敬意が示されている。
そして、条約は、核兵器の開発、生産、製造、取得、保有、貯蔵、配備などに加えて、核抑止力の根幹とも言える「使用の威嚇」についても禁止した。この条約に加入した非核保有国への、核持ち込みや配備、威嚇はできなくなる。何より、核保有国に対して、「違法な核兵器を廃棄せよ」と法的に堂々と主張できるのである。核兵器廃絶への確固たる土台を築く画期的な内容である。
この条約は、9月19日の署名式を皮切りに、50か国が加入した後、90日で発効するとされている。その発効は確実である。世界が、「核兵器違法化時代」に踏み出し、「核兵器廃絶」へと努力を始めるとき、日本政府がどのような態度をとるか、大きく問われている。
全労連は、日本政府が核兵器禁止条約に参加することを強く求める。この歴史的条約への参加を求める圧倒的な国民世論を作り出すために、多くの団体・個人と共同してすすめている「ヒバクシャ国際署名」のとりくみをいっそう強化する。そして、8月、広島・長崎で今年も開催される原水爆禁止世界大会を、歴史的大会として成功させるために奮闘する決意である。
以上