1 平和と暮らしを守る2017年総選挙に
(1) 突然の総選挙を安倍政権退陣に追い込むチャンスに
安倍首相は、本日召集された臨時国会冒頭で衆議院を解散しました。所信表明もおこなわず、解散の理由を国会の場で述べないままの解散には大義がなく、「解散権」乱用の独裁者さながらの民主主義破壊の暴挙です。
また、首相自らの関与が疑われる森友学園・加計学園疑惑や、「自衛隊日報問題」などの事実解明のために、憲法第53条にもとづき野党が求めていた審議に応えないままの解散は、「疑惑隠し解散」と言わざるを得ません。究極の国政の私物化です。
同時に、安倍政権の国政私物化や憲法破壊の政治に対する批判が高まり、東京都議会議員選挙での自民党の歴史的な敗北にも示されたように、この間の市民と野党の共闘の前進によって追い詰められた結果の解散です。
総選挙を安倍政権退陣のチャンスにしていきましょう。
(2) 憲法破壊の暴走政治をとめ、9条改憲を断念させる選挙に
2012年から4年余の安倍政権のもとで、憲法が乱暴に踏みにじられ、戦争する国へと変えられてきました。2013年には特定秘密保護法を強行し、2014年には集団的自衛権行使を容認する解釈改憲を行い、翌年9月の戦争法(安全保障法制)強行へと突き進みました。そして2017年には市民監視のための共謀罪法について、委員会審議を打ち切って採決を強行するという暴挙まで行われました。
今年5月3日に安倍首相は、「憲法9条に自衛隊を明記する」、「新しい憲法を2020年に施行する」と明文改憲を進める意向を明らかにしました。この発言自体が憲法遵守義務を踏みにじる違憲の行為です。
自民党の総選挙公約では、9条改憲を項目として掲げるものの、その具体的な内容は明らかにしないという「争点隠し」を行っています。
今回の総選挙の最大の争点は、憲法をまもらない安倍首相に9条改憲を許すか、恒久平和を掲げる憲法を守り抜くかがとわれる総選挙です。改憲を主張する政党と議員に明白な審判を下し、「憲法9条」を次の世代に引き継いでいきましょう。
(3) 対話に消極的な安倍政権への審判を下し、戦争法廃止の政府に変える選挙に
北朝鮮のミサイル発射や核兵器開発など軍事的緊張が一気に高まるなか、国際社会からはアメリカと北朝鮮の直接対話を求める声が高まり、戦争回避の働きかけが強まっています。
その様な国際社会の動きとは異なり、安倍首相は国連で「対話による問題解決の試みは無に帰した」と発言し、対話による平和の実現に背を向け、北朝鮮を過度に挑発し緊張をより高めています。
集団的自衛権容認の閣議決定や戦争法(安全保障法制)の強行が、近隣諸国との緊張関係をたかめ、軍拡競争を激化させています。アメリカ軍と北朝鮮の偶発的な戦闘に自衛隊が巻き込まれる現実的な危険も生まれています。
これらの点からしても、戦争法の廃止は喫緊の課題です。武力による紛争解決を拒否する憲法9条を活かし、発展させる政治をめざしましょう。
(4)くらし破壊のアベノミクス、働き方改革を中止させ、雇用と暮らしを守る政治への転換をめざす選挙に
連続した実質賃金の低下と消費支出の減少が続いています。社会保険料などの負担増もあって、2012年以降、可処分所得は連続して減少しています。個人消費の低迷が続き経済成長を押しとどめ、地域経済とその担い手である1次産業や中小零細企業・事業者を疲弊させています。
その一方で、アベノミクスの恩恵を受けた大企業は2016年度末で(資本金10億円以上の大企業)内部留保は403.4兆円もの巨額に上っています。2012年度末との比較で約100兆円も増えているように、安倍政権が作り出した富の偏在にほかなりません。
その結果、富裕層の上位40人の資産が、人口の半分(6000万人)の資産合計と匹敵するという格差社会となり、二極化がすすんでいます。
安倍政権はこの現実に目を向けず、多様な働き方を口実とする雇用の流動化、不安定化をさらに進め、労働時間管理をしない労働者を作り出し、過労死ラインまでの残業を容認して過密労働を強いることなどで企業の儲けを最大化する「働き方改革」を強行しようとしています。
今回の総選挙は、そのような安倍働き方改革にNOを突き付け、8時間働けば暮らせるルールの整備などで、労働者保護の労働政策に回帰させる絶好のチャンスです。
(5)切実な要求実現をめざす攻勢的な選挙に
再生可能エネルギーを中心にした原発ゼロの社会への政策転換、被災者本位の災害復興、消費税増税によらず富の再配分機能を高める社会保障制度の拡充、教育費無償化と給付性奨学金制度の拡充など、くらしを守り改善する政治の実現の要求は渦巻いています。
それらの要求実現の大きな障害になっているのが、グローバル大企業の競争力強化と国内への投資の呼び込みを優先政策に位置付ける「企業が世界で一番活動しやすい国づくり」の成長戦略です。
地域経済を疲弊させ、格差と貧困を深刻にし続けている政治から、くらし重視、地域循環型経済への政策への転換を迫る要求実現選挙に取り組みましょう。
2 要求の一致点での市民と野党の共闘をつくりだし、安倍暴走政治を終わらせる総選挙に
(1) 全労連は、早期解散総選挙の情勢にあった2016年12月14日の第4回幹事会で、安倍暴走政治を止めるために、参議院議員選挙一人区や新潟県知事選挙などの教訓をふまえた市民と野党の共闘実現に力を尽くすことを確認しています。
それは、戦争法(安全保障法制 )反対・廃止のたたかいの中で生まれ前進している、その共闘こそ、私たちの切実な要求実現の道であることを確認したからです。
その様な共闘は東京都議会議員選挙にも引き継がれ、自民党惨敗の結果をつくりだす大きな力となりました。
(1)戦争する国づくりの政治から憲法を守りいかす政治への転換、(2)グローバル企業の利益一辺倒のアベノミクスから持続可能な地域循環型経済政策への転換、(3)安倍働かせ方改革を阻止し、8時間働けば暮らせるまともな働くルールの確立、の3点を全労連の基本の要求に、要求の一致点での市民や諸団体、政党も含めた共闘の実現に力を尽くすことも強調しています。
一人を選択する選挙では、その要求実現の立場での争点の明確化を迫り、本気の共闘の実現を求めていくことが、政治の転換につながる結果を生み出す力になります。
今回の総選挙は、この国の未来が、労働者の未来の働き方とくらしがかかった選挙です。選択が主権者一人ひとりに迫られています。
政党の組み合わせ論議ではなく、要求実現の立場での共闘前進をめざし、選択を労働者に訴えましょう。
(2) 安倍暴走政治の延命を許して、戦争する国、企業中心の社会への道か、憲法いきる社会への道に方向を変えるのかの二者択一の選択が問われていることを深く意思統一しましょう。
市民と野党の共闘に背を向け、安倍政権下での改憲論議を否定しないなど要求が一致しない政党、候補者に期待を寄せることはできません。戦争法廃止、立憲主義回復、安倍政権下での改憲反対の一致点で前進してきた市民と野党の共闘の成果を引き継ぎ、市民の要求を受け止めて、その実現を公約する政党、候補者の選択を強く呼びかけましょう。
○安倍暴走政治NOの全組合員学習と論議の場を地域、職場で旺盛に組織しましょう。
○安倍暴走政治NOの世論喚起と共同の取り組みへの労働者の参加の呼びかけを強めましょう。
○市民連合の「7項目要望」にもとづく市民と野党の共闘を求め、実現を迫る取り組みに積極的にかかわりましょう。
○選挙区では実現した統一候補を押し上げ、勝利を勝ち取るため、各組織の実情をふまえた最大限の取り組みを進めましょう。
○政党選択の選挙となる比例区や統一候補が実現できなかった選挙区でも、政治的中立に陥ることなく、要求実現の立場での活動参加を強く呼びかけましょう。
○労働者の政党支持の自由、政治活動の自由を守り発展させる取り組みとして、「ぐるみ選挙」などを排除し、「勝たせる会」活動の自由などの保障を求めて取り組みを強めましょう。
(3) 総選挙を契機に、職場、地域に政治論議の風を吹かし、「選挙に行って政治変える」を合言葉に労働者の政治意識の喚起を強めましょう。
争点隠しの総選挙とさせず、投票率のアップが安倍政権を追い詰める一つの鍵であることを確認し、期日前投票の積極的な活用も含めた投票行動の労働者への訴えを強めます。
とりわけ、青年労働者に対する呼びかけ、働きかけを重視し、青年自らの創意ある取り組みを促しましょう。
各政党、候補者の実績や公約なども活用し、労働者の投票判断の資料を提供して活用を呼びかけます。全労連として、「全労連新聞総選挙特集号」を作成し、全組織での活用、組合員と家族への働きかけ強化を呼びかけます。
市民と野党の統一候補が実現した地方、選挙区では、統一の意義を訴え、勝利に向けた積極的な取り組みへの参加を呼びかけるなど、市民参加型の選挙への対応もはかります。
3 2017年総選挙にむけた全労連の重点要求
総選挙をめぐる情勢や、7月の第55回評議員会決定をふまえ、次の5点を「2017年総選挙での全労連重点要求」とし、その実現をめざして選挙闘争を進めます。
(1)憲法9条改憲に反対し、戦争法と特定秘密保護法、共謀罪の「違憲3法」の廃止、沖縄辺野古沖新基地建設の中止、撤回を実現する政治への転換を求める。
(2)「安倍働かせ方改革」を許さず、安定雇用と均等待遇、最低賃金引き上げ、8時間労働ルールの厳守など、人間らしく働けるルールを実現する政治への転換を求める。
(3)すみやかな原発ゼロ社会の実現と福島原発事故の早期収束、全面補償、被災者生活支援法の改正など、「人間復興」を実現する政治への転換を求める。
(4)社会保障の連続改悪の中止、最低生活を保障する制度の拡充、2019年の消費税10%増税を中止し、財源確保のための軍事費削減と大企業・富裕層への応能負担を迫る政治への転換を求める。
(5)核兵器禁止条約を批准し、核抑止力政策を放棄し、対話による紛争解決など世界平和の実現にリーダーシップをとる政治を求める。
以上