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【談話】過労死促進の労働時間制度改悪法案の提出断念を求める

 政府が国会提出を急いでいる働き方改悪一括法案に関し、裁量労働制の適用拡大の論拠とされた労働時間データのねつ造が疑われ、その検討の不十分さが明らかになっている。
 全労連は、問題の大本に、改革を言いながら労働者実態をふまえず、労働生産性の向上という企業サイドの要請にこたえ、労働時間法制の規制緩和を政府が主導したことがあると考える。労働者の命に係わる労働法制の見直しを、ねつ造データ、虚偽の情報で誤った方向に誘導した厚生労働省の責任も重大である。
 政治主導で進められた働き方改革の弊害が明らかになった今、関連法案の国会提出を断念するよう強く求める。労働者、労働組合の意見反映を十分に保障し、労働実態の真の改善によるディーセントワークの実現を目的とした検討を強く求める。

 喫緊の課題は、労働者の命を奪う長時間過密労働の是正である。それに逆行する裁量労働制の適用拡大や高度プロフェッショナル労働制、政府の過労死認定基準までの残業の法定化などの労働時間法制の規制緩和を柱の一つとする働き方改革に、全労連などは強く反対してきた。その反対意見に対して、安倍首相が持ち出してきたのが「裁量労働制で働く方の労働時間は平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」との主張であった。
 ところが、この主張の根拠となったデータ(厚生労働省の「2013年度労働時間等総合実態調査」)は、一般労働者については「もっとも長い1日の労働時間と法定労働時間の8時間の和」と、裁量労働者については「平均的な労働者の1日の労働時間」を比較していた。
 実労働時間によらない比較、性格の異なるもの同士の比較で政策決定が行われていたことは、驚きである。同時に、政府、行政への信頼を大本から揺るがすものである。しかも、調査原票には200か所以上ともいわれる誤りがあることも明らかになっている。
 2013年に安倍内閣が閣議決定した日本再興戦略などで、労働生産性の向上のための労働法制の規制緩和が盛り込まれ、その要請にこたえるための調査が行われ、データが加工されたという、穿った見方も出来なくない。その点でも、ことは重大であり悪質であり、 誤ったデータを報告した官僚に責任を押し付ける首相などの姿勢は許されるものではない。

 裁量労働制が定額働かせ放題の制度として悪用されていることは、労働基準監督の査察や労働組合、労働者の告発からも明らかになっている。残業代未払いなど、法を逸脱して労働者を使い捨てにするブラック企業も後を絶たない。
 これらの事実からしても、今求められるのは8時間制の原則を再確認し、時間外労働にかかわる厚生労働省の告示基準を法定化し、裁量労働制などの適用を厳格化することなど、労働者保護規制の再強化である。労働時間規制を潜脱するような親企業による不公正取引を厳しく取り締まることである。
 全労連は、働き方改革一括法案の国会提出の断念と、労働者保護規制の再強化を求めるたたかいへの結集を、すべての労働者に呼びかける。

  2018年2月26日

全国労働組合総連合
事務局長代行  橋 口 紀 塩

 
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