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【談話】暴力とハラスメントで新基準設定へ、公務の労働基本権問題で勧告
第107回ILO総会を終えて

2018年6月13日
全労連事務局長代行 橋口紀塩

 第107回国際労働総会(ILO総会)が5月28日から6月8日まで、スイス・ジュネーブで開催された。

 総会では、第5議題「労働の世界における暴力とハラスメント」に関する基準設定にむけた第1回討議が行われた。これまで暴力とハラスメントについて、その行為を定義し、問題を解決するための包括的な国際労働基準は存在しなかった。今回の議論をうけ、2019年に第2回討議がおこなわれ、「労働の世界における暴力とハラスメント」に関する勧告で補完される法的拘束力を持つ条約が制定される見込みとなった。
 討議の経過では、移民やLGBTなどのカテゴリーを明示して規制するとした条約の原案部分が採用されず、今後の討議で改善すべき点も残した。また日本政府は、基準設定に消極的な姿勢をとっており、国内での取り組みの強化も課題となっている。
 今回の討議による基準設定に向けた大きな一歩を心から歓迎し、全労連としても国内の関連法制や制度の設定に向けて行動を強め、職場での暴力、ハラスメントの根絶に向けた取り組みを前進させる。

 公務員の労働基本権に関しては、総会基準適用委員会で日本案件として審査が行われた。日本は1965年に結社の自由に関する87号条約を批准しているが、公務員の労働基本権制約について半世紀にわたって条約勧告適用専門家委員会や結社の自由委員会から繰り返し勧告を受けている。ILOは特に、公務員全般に団結権や争議権に制約があることを問題視し、特に消防職員と刑務所職員には直ちに団結権を付与するよう日本政府に求め続けてきた。今総会に提出された条約勧告適用専門家委員会の報告でも、消防職員の労働組合結成禁止の代償措置として導入された消防職員委員会、労働基本権剥奪の代償機関とされる人事院についてもその機能を疑問視し、団結権と団体交渉権を広く公務員労働者に認めるよう日本政府に求めている。
 日本の個別審査では、日本政府、労使グループの各代表と日本の労使代表が意見を述べ、いくつかの政府や労働側の代表が討論に参加した。採択された基準委員会の結論では、2012年の公務員制度改革の議論から依然として、労働基本権の問題で前進がないことを指摘した。そのうえで、これまでの結論同様に消防職員と刑務所職員に直ちに団結権を認めること、自律的労使関係の確立にむけた期限を切った行動計画を、労使と協議の上定めることを求めた。日本政府には早急に行動計画策定に向けた協議の場を設けることを求める。
 なお、総会後の理事会で確認された第386期結社の自由委員会報告においても、公務員の労働基本権問題について11回目となる勧告が出された。勧告では、国の名による権限行使に関与しない公務員に広く団結権と団体交渉権、スト権行使を認めることを求め、消防職員と刑務所職員への団結権、団体交渉権付与を強く求めている。
 全労連は、国際基準に著しく反する公務員労働者の労働基本権の回復に向けて、引き続き取り組みを強める。

(以上)

 
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