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【談話】地域別最低賃金額の改定の目安について

 厚生労働省の中央最低賃金審議会目安小委員会は、7月25日午前0時40分、全国加重平均を時給26円引き上げ、874円とする公益委員見解をもって、目安小委員会の報告とすることを公表した。この結果は26日の審議会で改定の目安として厚生労働大臣に答申された。
 マスコミは、加重平均で26円の引き上げは、昨年よりも1円高く、2002年以降で最大の上げ幅となったことを強調して報道している。しかし、この目安は安倍内閣による「3%程度の引き上げ」を実施しただけであり、多くの労働者が求めている「すぐに1,000円以上」という願いには背を向けたものである。多くの国際機関が相次いで表明している、日本の最低賃金の異常な低さへの懸念を払しょくさせるものとは、とても言えない。

 加えて、Aランク27円、Bランク26円、Cランク25円、Dランク23円と、地域間格差がさらに拡大する目安となったことも容認できない。目安通りに金額改定がなされるとすれば、最高額は985円、最低額は760円となり、金額の差は現行の221円から225円へと、さらに4円も広がる。これでは、若者などの地方からの流出と大都市部への集中に拍車をかけてしまう。
 今年の改定の目安には、水準の引き上げのみならず、地域間格差の縮小に大きな期待が寄せられていた。全国の1割を超える自治体が、格差の縮小・廃止を求める意見書を厚生労働省に提出し、そのことは、厚生労働省も、労働者委員も認識していたはずである。しかし、小委員会報告のなかでは、地域間格差問題については触れられず、重視されたのは「働き方改革実行計画や「骨太方針2018」などに盛り込まれた「3%引き上げ」の政府方針であった。過疎化・高齢化・人口減少・地域経済の疲弊に直面する地方・地域の課題に向き合わない審議会の姿勢には、失望をこえ、怒りを覚えざるをえない。
 韓国の文在寅大統領は、2019年から全国一律最低賃金を時給8,350ウォン(為替換算10ウォン=1円とした場合:835円)に引き上げることを発表したが、それが実現すれば、今回の目安の水準では、35道県の最低賃金が韓国を下回る。さらに大統領は公約で「2020年には10,000ウォンに」を掲げている。そうなれば、全地方が韓国を下回ることになる。
 全労連はこの間、「社会的な賃金闘争」を強化し、全国一律最低賃金制度と「今すぐ最賃1,000円以上」の要求実現のとりくみを強めてきた。全国各地の仲間とともに、行政や中小企業団体への要請や懇談を行い、中小企業支援の強化もおこないつつ、最低賃金の大幅引きあげを進めるべきとする社会的合意を広げてきた。あらためて、安倍政権と中央ならびに地方最低賃金審議会に対しては、「今すぐ1,000円」の決断を求めるとともに、これから本格化する各県の地方最低賃金審議会においては、目安を上回る積極的な金額改定と、C・Dランク県の大幅な引き上げによる格差縮小を求めたい。全労連としても、全国各地でとりくみを展開し、地方最低賃金審議会を激励していく。
 もはや現行の目安制度の限界は明らかである。生計費原則に基づき、すべての働く人に人間らしい最低限の生活を保障する「全国一律最低賃金制度」を実現する「全国最賃アクションプラン」の運動を強化していく決意である。

 2018年7月26日

全国労働組合総連合 事務局長代行  橋口 紀塩

 
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